2023.9.19
マネジメントの勉強を始めると、最初に突き当たるのが専門用語です。KGI、KPI、OKRなど、普段聞き慣れない言葉も出てきて、混同してしまうこともしばしば。
そこで本稿ではKGIをはじめとして、会社のマネジメントでよく使われる単語の意味や違いを解説します。
決して難しい概念ではないので、ひとつずつ理解していきましょう。
本記事の執筆者について
「Resily」は目標管理フレームワークOKRのクラウドツールを150社以上に提供しています。国内企業における目標管理に携わったノウハウを基に本記事を執筆しています。様々なフレームワークとの違いや正しい目標設定方法について、より具体的な内容を書きましたので最後までお読みいただけますと幸いです。
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特にマーケティングに携わっている人であれば、KGIという用語は耳にしたことがあると思います。
そもそもKGIとは何の略でしょうか。これは “Key Goal Indicator” の頭文字を取った言葉で、日本語で言うと「重要目標達成指標」となります。これは、チームや組織、企業や個人が何らかの目標を目指して行動する上で、実際にその目的が達成されているかどうかを推し量るためのものであり、それがKGIなのです。
例えば、年間の売上が3,000万円の小売店があったとして、「来年は売上を30%アップする」という目標を立てた場合、この目標である「売上30%アップ」の達成度合いを可視化するために用いられるのがKGIなのです。簡単に言ってしまえば、KGIは「最終目標を定量的に評価する目印」なのです。成約数や売上高、利益率などがこれに当たります。目標の達成度合いを客観的に測るためにKGIを設定し、KGIが示す数値を確認することで、その数値に達したかどうかで目標達成の判断をすることができます。
会社経営でKGIを使う例としては、売り上げN%アップやPV数N%増加などがあります。
よりKGIについて知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
→KGIとは?4つのメリットと効果的な設定方法を紹介
KGIマネジメントとは、KGIを道しるべとして組織を管理することです。
大まかな流れは以下の通りです。
次にKGIと同じ目標管理に関する専門用語との違いを紹介します。
ここではKGIと、KPI、OKRの違いをそれぞれ解説します。
KGIに似た言葉でKPIというものがあります。言葉が似ていることで混同されがちですが、この二つは別物であり、しっかりと区別して使い分けることで、その本質を理解し正しく活用することができるでしょう。
KPIの違いは何なのか、結論から言うと、その違いはこうです。
前述したとおり、KGI(Key Goal Indicator)は最終的に達成したい目標指数で。
KPI(Key Performance Indicator)は日本語では、重要業績評価指標などと訳されます。目標達成のためには、KGIを更に細かく分ける必要があり、その1つ1つがKPIとなるのです。例えばKGIを売上N%アップと定めたとします。この場合、KPIは来客数の増加や客単価アップ、リピート率アップなど複数設定されます。
まとめると、KGIは結果を評価する指標、KPIはKGIを達成するまでのプロセスを評価するための指標、ということです。
より詳しくKGIとKPIの違いについて知りたい方は下記のサイトも合わせて読んでみましょう。
OKRとは(Objective and Key Result)の略称です。
直訳すると目的と成果指標という意味で、野心的な高い目標を設定することで持ってる力以上を発揮し大きな成果をあげる目標管理の手法の事です。OKRのもう一つの効果として、社内間のコミュニケーションの増加による組織の一致もあります。
OKRについて詳しくは下記の記事をご覧下さい。
→OKRとは?OKR専門家が基本から運用方法まで解説!
KGIとOKRの違いは目的の達成度合いにあります。結論から言うと、その違いはこうです。
KGIは設定したゴールの100%達成が目的となっているため、達成できそうな現実的な目標を設定しなければなりません。
一方のOKRは高い目標を設定することによる成長を目的としたものです。
OKRは目標設定をする際、「自信度」という達成できる自信を表した指数を用います。自信度3であれば30%の達成可能を表し、自信度10であれば必ず達成できる100%を表すというわけです。OKRにおいては「自信度5」の目標を設定することを求められます。達成できるか五分五分の可能性の目標は、目標を立てた個人、チームの可能性を未知数に広げられると考えているからです。逆に、自信度10の目標は「絶対に達成できるほど簡単な目標」という様に見なされ、OKRでは推奨されません。
達成度が60~70%ぐらいになりそうな、背伸びしたゴール(ストレッチゴール:stretch goal)を設定することで、従業員の思いがけない成長を促すのがOKRなのです。
OKRの導入事例について詳しく知りたい方は下記の記事を参照してみましょう。
従来のMBOでは会社が目指しているところがわからないということに課題を感じ、OKRと専用ツールResilyの導入を決めた大日コンサルタント様の事例です。
KGIを設定することで様々なメリットがあります。今回ここでは2つを紹介していきます。
その他のメリットが気になる方は下記の記事を読んでみましょう。
みんな一丸となって頑張ろうというスローガンとは違って、KGIで求められる目標は具体的な数値や時期が決まっています。定性的な目標も、モチベーション維持のためには大事ですが、達成度合いが可視化出来ないため従業員のモチベーションを下げてしまうこともしばしば。
KGIは目標が具体的なので「何をどのくらい頑張ればいいのか」はっきりさせることができるのです。来月は頑張ろうでは従業員個人の「頑張り」が主観的なものになってしまい、定量化できないからです。
「来月は売り上げ10%アップ」という明確な形でKGI(重要経営指標)を示せば、目標から逆算してどれくらい頑張ればいいか、何をしたらいいか考える事が出来ます。
最終目標(KGI)を設定することで、目標から逆算して日々のやるべきタスクが見えるというのはKGIのメリットの一つと言えるでしょう。
数値化されていない目標は、進捗を測ることが難しいです。達成までの距離感がつかめないと「何が足りないか」が見えないので、業務が行き詰まってしまいます。
KGIを定める事で、目標が明確に数値化されます。数値で計るため、進捗状況や達成状況を客観的に管理しやすくなります。例えば、売上目標200万円というKGIに対して、現在の売上が150万円だった場合、150万円という売上が多いか少ないかではなく、現在の目標達成率が75%とということが、客観的に明確に可視化されるので、KGIに対して事業がうまく回っているのかを把握することができるのです。達成度75%など客観的な指標で進捗を把握できるようになれば「残りの25%を埋めるためにすべきこと」がタスク化され捗ります。
個人の目標もKGIを定めれば、上司は1on1の前に進歩状況を見て適切なアドバイスを下すこともできるようになるでしょう。従業員が、全体の距離がわからないマラソンを走らされている、と感じることがないようにKGIを正しく設定しましょう。
KGIは、Smartの法則に沿って設定するのがおすすめです。というのも、Smartの法則に沿って作られた目標は具体的なものになるためです。
SMARTの法則は、KGIを作る上で効果的な5つの要素からできています。
この5つの要素の頭文字をとってSMARTとなり、これら5つをかけ合わせて出来たKGIを達成することで成功を最大限にすることが出来ます。
KGIを設定する上でSMARTの法則をどのように使えるかを学んでいきましょう。
KGIは具体性を持ったものでなければ、達成した時のイメージが湧きません。KGIが抽象的であれば、達成するための行動も抽象的になってしまいます。目標達成からは遠のいてしまうでしょう。
Key Resultは定量的、つまり数値で進捗を把握できるものにするべきです。KGIを定量的かつ計測可能にすることで、成果指標に対する認識のズレがなくなり進捗がわかりやすくななります。数値を見て毎週のミーティングで達成するためのアクションプランが見える状態にすることが望ましいでしょう。
KGIは100%の達成率が求められます。OKRのように野心的で高い目標を設定することは能力を引き上げる上で大事ですが、あまりにも現実から離れすぎた目標を立てることはKGIにおいて好ましくありません。現状を鑑み、よく社内で擦り合わせて達成可能な目標を設定しましょう。
KGIを設定する上で、忘れてはいけないのが関連性です。成功指標は常にKPIに繋がっている必要があります。最終目標から逆算してKPIを設定するため、設定する時はその先のKPIの設定もイメージしながら行いましょう。
もう一つ大事なことはKGIと会社のビジョンが繋がっているかという点です。KGIを達成することがゴールではなく、KGIを達成することで掲げたビジョンのような会社になることが目標です。その点を意識してKGIを設定しましょう。
人は期限があるからこそパフォーマンスを最大限に発揮することが出来ます。KGIも「いつまでに」という制約を設けて目標を設定しましょう。そうすることでKPIの設定の目安も見えてきます。
KGIは複数設定してはいけません。なぜならKGIは指標だからです。
指標を何個も持ってしまうと、進む方向があやふやになってしまいます。
日常生活に置き換えて考えてみましょう。正反対の方角にある2つの施設のどちらにも行こうとすると、同じ道を行ったり来たりする、非効率的なルートを取らざるを得ません。
KPIは1個だけ設定してこそ、十分な効果を出せるのです。
KGIは数値化してこそ効果を出せるものですが、全ての目標を簡単に数値化できるとは限りません。
KGIを数値化しにくいときにすべき対策としては下記になります。
対策1つ目は、金額や割合など、数値化できる単位からKGIを考える方法です。
例えば「顧客を幸せにする」という漠然とした目標から考えても、なかなか数値化には結びつきません。
しかし数値、例えばN%といった割合から考えれば、
などと目標を数値化できます。
前述のように顧客満足度を目標にしても、今の顧客がどれほど幸せかわからなければ、効果的な目標は設定できません。
しかしデータを集めれば、顧客満足度を数値で測れます。
例えば購入者に対して、アンケートを実施するのがよいでしょう。
どうしても目標を数値化できなかったとしても、目標を具体的にする方法は他にもあります。
例えば目標が顧客を幸せにすることなら、商品が早く届いて喜んでいる家族などがより具体的なイメージになります。
本稿では、会社におけるKGI(Key Goal Indicator)について解説しました。
KGIは「組織やプロジェクトの最終的な目標を定量的に評価するための目印」という意味です。KGIを設定することで、組織が優先すべき目標や業務がわかりやすくなります。
まずは組織が掲げている目標を整理して、どれをKGIと設定しているのか検討してみましょう。
本記事で比較対象として取り上げたOKRはIntelやGoogleなどシリコンバレーの有名企業が使っている目標管理フレームワークです。目標管理に携わるマネジメント層の方には今の目標管理方法にも役立つ内容になっています。ぜひOKRとは?の記事もご覧ください。
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