2023.3.16
フィードバックの効果を高めるためには4つのコツがあります。
部下にうまくフィードバックをできず、部下のモチベーションが下がってしまい、困っている管理職の方もいるのではないでしょうか。
間違ったフィードバックの仕方をしていると、部下のやる気はそがれてしまい、生産性が下がってしまいます。
社員は人格を否定するような厳しいフィードバックを受けると退職してしまうことも。
本記事では、すぐに実践できるフィードバックのコツや、フレームワークを紹介します。
部下にさらに成長してほしいと考えている方や、自分の考えを相手が受け入れやすい形で伝えたい方は参考にしてみてください。
フィードバックとは「相手の行動したことの結果」を伝え、目標を達成するために「良かった点や改善点」をアドバイスすることです。
部下の行動した結果に対して、よかった点や改善点を伝えるだけでなく、一緒に今後の行動計画を立てて部下の成長を促します。
上司はフィードバックを通して、部下の失敗の原因を一緒に考え、同じ失敗を繰り返さないための予防策を模索します。
コーチングは相手(部下)が自分で答えを導く点が、フィードバックと異なります。
また、マネジメントは組織目標を達成するための管理手法全般を指し、コミュニケーションだけを指す概念ではありません。
それぞれの違いは以下の表のとおりです。
項目 | 概要 |
---|---|
フィードバック | 相手(部下)の行動したことの結果・評価を伝える手法 |
コーチング | 質問を通して、相手(部下)が自分で考える力を養うコミュニケーション手法 |
マネジメント | 組織の目標を達成するためにリソースを管理する手法 |
フィードバックを正しく部下に伝えられる管理職は、以下の目的を意識しています。
これらの目的を理解していると、部下にストレスなく、質の高いフィードバックを伝えられます。
今まで目的なくフィードバックを行っていた方は、これらの目的を理解して部下との面談を行いましょう。
目標達成するために足りない点をフィードバックすることで、部下の成長を促します。
部下が自分では気づけなかった「課題」や「改善策」を上司から伝えて、具体的なアクションプランを一緒に考え、部下が目標達成できるよう援助します。
上司の経験やノウハウをもとにフィードバックすることで、部下の成長スピードは加速するでしょう。
フィードバックのほかにも「OJT」や「Off-JT」などの人材育成の施策があり、詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてみてください。
人材育成とは何か?3つのフレームワークと必要なスキルを解説 - Resily株式会社(リシリー)
組織やチームの目標を達成するために生産性を上げることも、フィードバックを伝える目的の1つです。
目標達成のために進捗を振り返り、以下のようなポイントにもとづいて改善点をチームメンバーにフィードバックします。
上記のようなポイントを確認し、チーム・個人の生産性が上がるフィードバックを行います。
部下の仕事の結果とその根拠を伝えるためにも、フィードバックを行う必要があります。
部下は評価面談で結果を知ったあとに、評価の根拠や今後の改善点がわからないと、業務へのモチベーションが下がってしまいます。
上司は評価の結果と根拠を正しく伝えて、部下のキャリアアップを支援しましょう。
人事評価制度を正しく運用すると、評価のプロセスが明確になり、社員が自分の待遇に納得して働けます。
これから人事評価制度を運用しようと考えている方は、以下の記事を参考にしてみてください。
人事評価制度とは?メリット・デメリットと導入手順を紹介 - Resily株式会社(リシリー)
フィードバックには「ポジティブフィードバック」「ネガティブフィードバック」の2種類あります。
この2つを場面に合わせて、適切に使い分けるとフィードバックの効果が高まります。
どちらか1つしか使っていなかった方や、自分なりにやっていた方は参考にしてみてください。
ポジティブフィードバックとは、部下の行動のなかでよい点を見つけ、肯定的なアドバイスを伝えて、業務への意欲を高めることです。
具体的には、以下のようなポイントを抑えてフィードバックします。
ポジティブフィードバックには、部下がフィードバックを受け入れやすく、自信がつくメリットがあります。
部下が成果を出せていないときや、自信を無くしている場合に、ポジティブフィードバックを行いましょう。
ネガティブフィードバックとは、部下の行動や結果に対して、課題・改善点を伝えることです。
部下に対して「否定的」な内容を伝えることで、本人の反骨精神を引き出し成長を促します。
具体的には、以下のようなポイントを抑えてフィードバックしましょう。
ネガティブフィードバックに慣れていない部下の場合、否定・批判されたと感じて、モチベーションが下がる場合があります。
人格を否定せずに、よかった点とセットで改善点を伝えましょう。
フィードバックにはいくつかのフレームワークがあり、今回はとくに効果的なものを3つ紹介します。
これら3つのフレームワークは、相手(部下)が受け入れやすいように、フィードバックの進め方をまとめた手法です。
それぞれのフレームワークの具体例も記載していますので、今まで思ったことを場当たり的にフィードバックしていた方はぜひ参考にしてみてください。
SBI(Situation Behavior Impact)型は、「状況・行動・影響」の順番で伝えるフレームワークです。
原因と結果を踏まえて業務のプロセスを順序立てて伝えるため、フィードバックがわかりやすいです。
また、ポジティブ・ネガティブフィードバックともに利用でき、使い勝手のいいフレームワークと言えます。
SBI型のフィードバックの進め方の具体例は以下のとおりです。
「昨日のミーティングについてですが」(状況)
「あなたが議事録や会議資料を事前に共有してくれていましたよね」(行動)
「おかげで効率的に会議を進められて、いつもより10分早く終わりとても助かりました」(影響)
「会議に必要な資料の共有は今後もぜひ行ってほしいです」(影響)
SBI型フィードバックでは、上記のように部下の行動がどのように影響を与えたか、順序立ててフィードバックします。
サンドイッチ型フィードバックとは、ネガティブな点をポジティブな内容の間にはさんで伝えて、相手が受け入れやすくする手法です。
最初に相手のよいところを伝えて、課題・改善点を指摘し、最後にもう一度ポジティブフィードバックします。
最初と最後にポジティブな内容を伝えることで、改善点を指摘しても相手のモチベーションが下がりにくい点がメリットです。
サンドイッチ型フィードバックは、職場で実際に以下のように使用します。
「先日おこなったプレゼン、細かな部分まで情報収集されていてわかりやすく、先方から高い評価を得られました」(ポジティブな内容)
「ただ、話すペースが早く、先方の理解が追いついていない部分がありました」(ネガティブな内容)
「情報収集は徹底してできていたので、次回は話し方を意識して改善していきましょう」(ポジティブな内容)
このように、改善点をポジティブな内容の間に挟むことで、受け手のモチベーションを下げずに指摘できます。
ペンドルトン型のフィードバックの特徴は、相手が自分で改善点・行動計画を考えるように促すことです。
具体的には、以下の順番でフィードバックを進めます。
他のフィードバックのフレームワークは、上司側がよかった点や改善点を伝えていましたが、ペンドルトン型は部下自身が改善点・行動計画を考えます。
ペンドルトン型フィードバックは、以下のような流れで進めていきます。
上司:「先日の新規営業についてです」(確認)
上司:「事前に作成していた資料の導入事例がわかりやすく、先方がよい反応していて、とてもよかったです」(賞賛)
上司:「ちなみに、改善したほうがよかった点はありますか?」(改善点)
部下:「先方の課題をスムーズにヒアリングできたら良かったと思います」
上司:「次回、営業に行くときにどのような対応をしますか?」
部下:「営業経験のある先輩が行っている、先方の課題を把握するための質問の仕方を聞いてみます」(行動計画)
上司:「いいと思います」
上司:「次の営業で先方の課題を把握して、受注できるようにがんばりましょう」(総括)
このように、上司から部下に改善点・行動計画を考えるように促します。
部下に自分で考える力を養ってもらいたい場合、ペンドルトン型のフィードバックを有効活用しましょう。
フィードバックがうまくいかない場合、以下のような共通点があります。
振り返ってみると、上記のようなフィードバックをしたことがある方もいるのではないでしょうか。
知らないうちに部下はストレスを感じて、モチベーションが下がっている可能性があります。
フィードバックをするときに、相手の人格を否定してはいけません。
相手はかなりのストレスを感じ、業務へのモチベーションが下がり、最悪の場合は休職・退職につながることも。
伝える内容は部下の業務中の行動に絞り、人格には言及しないようにしましょう。
他の社員と比較してフィードバックをすることは、部下の自尊心を損ないます。
「〇〇さんと比べて、あなたは〜〜が足りていないから、がんばってね」といったフィードバックは避けるべきです。
部下の性格やスキルに合わせて、最適なフィードバックを伝えましょう。
フィードバックを定期的にせず伝えるタイミングが遅いと、部下はストレスを感じます。
伝えるタイミングを逃して思い出したときに「あのときの〜よくなかったな」とフィードバックすると、部下のモチベーションは下がります。
部下は「早く言ってくれよ」「そんなこと思っていたのか」と不審に思い、上司への信頼はなくなるでしょう。
上司が気づいたときにフィードバックを伝えてあげると、部下は納得して受け入れやすいです。
同僚がいる前での否定的なフィードバックは、部下が必要以上に責任を感じて落ち込んでしまいます。
部下は恥を感じると、失敗しないようにどんどん萎縮し、生産性が下がってしまうでしょう。
ネガティブなフィードバックを伝えたいときは、チームメンバーがいない場所で面談を行い、個別で伝えることをオススメします。
部下のモチベーションを下げてしまう、やってはいけないフィードバックの事例を紹介します。
具体的な事例を以下の表にまとめました。
やってはいけない理由 | 具体例 |
---|---|
人格を否定している | 「君は頭が悪いから、何を言っているかわからない」 「仕事が遅いぞ、そののろまな性格どうにかしてくれよ」 |
他者と比較している | 「〇〇さんを見習って、少しはがんばってよ」 「〇〇さんはあれだけ受注できているのに、どうしてできないの?」 |
曖昧である | 「この前のプレゼン、全体的によくなかったね」 「次の営業資料、いい感じに改善しておいて」 |
相手の人格を否定するようなフィードバックは相手をひどく傷つけるため、最悪の場合は心身の不調をきたす可能性があります。
部下が働きやすい環境を整えるために、上記の表のようなフィードバックは言わないよう注意しましょう。
フィードバックを効果的に部下に伝えるコツはいくつかあり、今回はとくに効果が出るコツを4つ紹介します。
これら4つのコツはすぐに実践できるので、フィードバックをうまくできていない方は参考にしてみてください。
フィードバックをするときにこの4つのコツを実践できると、部下は業務へのモチベーションを高く維持でき生産性は上がります。
具体的なフィードバックを伝える前に、フィードバックを伝える目的を部下に共有しましょう。
組織全体のフィードバックの目的が明確でないと、上司が感覚的にフィードバックを伝えてしまいます。
フィードバックの最終ゴールを上司・部下で把握すると、今後の行動計画をより具体的に設計できます。
部下の行動の「よかった点」「改善点」を客観的・具体的に伝えると、部下は納得して受け入れやすくなります。
あいまいなフィードバックだと、部下は具体的な行動計画を立てられず困惑します。
主観的な内容を伝えたい場合は「これは私の個人的な意見だから、参考程度に聞いてほしいのだけど」と、前置きして話すとよいでしょう。
改善策を伝えるときは、部下の能力や業務量を踏まえて実現可能なアドバイスをすることをオススメします。
部下によって能力や業務量が異なるため、相手に合わせて適切なフィードバックをする必要があります。
たとえば、1日8時間かけて100件テレアポしている部下に「明日から毎日テレアポ1,000件しよう」とフィードバックしても実行できません。
実現不可能なフィードバックをしていると、部下は「自分の対応できる業務量をわかっていない」と感じ上司を信頼できなくなるでしょう。
上司は部下が実現可能で再現性のある改善策を伝えられると、フィードバックの効果が高まります。
気づいたことは後回しにせずに、すぐにその場で部下にフィードバックすることも効果を高めるコツです。
部下にリアルタイムでフィードバックをすると、部下が受け入れやすいだけでなく、すぐに改善できるため成長するスピードが速くなります。
フィードバックが遅いと、部下の生産性が上がらないだけでなく、早く言ってくれなかった上司への不信感につながります。
部下の成長のために、気づいたことはすぐにフィードバックすることがオススメです。
フィードバックとは、部下が成長するために「良かった点や改善点」をアドバイスすることです。
ポジティブ・ネガティブフィードバックの2種類を場面に応じて使い分けることで、フィードバックの効果が高まります。
「人格の否定」「他者との比較」などのフィードバックは、部下に多大なストレスを与えるので避けましょう。
上司は「目的を共有する」「客観的に伝える」などのコツを実践すると、部下の反応が変わるため、フィードバックに取り入れてみてください。
フィードバックとセットで人事評価制度を運用してみると、部下は今後の改善策を考えられるので生産性を上げられます。
たとえば評価制度のフレームワークに「OKR」があり、社員の目標の達成度によって社員を管理・評価できます。
OKRの具体的な導入方法を知りたい方は、以下の資料をダウンロードしてみてください。
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