フィードバックの種類を徹底解説!6つのフレームワークを具体例とともに紹介BLOG

 2023.9.19

部下の成長を促すためには、上司のフィードバックが欠かせません。部下の行動に対し指摘することで、部下の能力アップや問題点の改善に期待できます。

しかし、フィードバックのやり方を間違えると、部下のモチベーションが下がり、成長につながらない恐れもあるのです。

この記事では、部下のやる気を維持させるフィードバック手法の種類やフレームワークについて詳しく紹介します。

はじめてフィードバックをする方や、フィードバックに苦手意識を感じる方は必見です。

フィードバックとは? | 混同しがちな用語との違いも解説

フィードバックとは、「目標達成に向けての行動や結果について指摘すること」です。

ビジネスシーンでは、部下の仕事に対する姿勢や業績に対して、上司が良かった点や改善点を伝えるときに用いられます。

フィードバックは主に人事評価や1on1のタイミングで実施します。 定期的にフィードバックの機会を設けることで、社員全員の成長を促進できるでしょう。

もし自社に人事評価制度がないのであれば、こちらの記事で導入手順について記載していますので、参考にしてみてください。

人事評価制度のメリットやデメリットについても詳しく知ることができます。

人事評価制度とは?メリット・デメリットと導入手順を紹介

また、ビジネス用語では、フィードバックに似た言葉がいくつか存在しているので、以下で紹介します。

「フィードフォワード」との違い

フィードフォワードは、「上司が部下に対して次のステップにつながるアドバイスをする」ことを指します。

フィードフォワードとフィードバックの違いを以下の表で見てみましょう。

概要
フィードフォワード部下の行動や結果を見て未来に向けたアドバイス
フィードバック過去の行動、実績に対しての改善点を指摘する

フィードフォワードは、フィードバックのように改善点を指摘するのではなく、次の問題解決に焦点を当てて助言します。

「コーチング」との違い

コーチングは、「部下の自主性を促すための指導スキルのこと」です。上司が質問を繰り返すことで、部下自身で問題の解決策を導きだせるように手助けします。

コーチングとフィードバックの違いは以下の点にあります。

概要
コーチングコミュニケーションを取りながら、部下自身で問題解決に気づかせるようにする
フィードバック部下の仕事での立ち回り方や成果をもとに上司が気づいた改善点を部下に伝える

コーチングとフィードバックでは、問題解決の伝え方が異なるので覚えておきましょう。ただし、コーチングをフィードバックに取り入れて指導するケースもあります。

「ティーチング」との違い

「上司が持っている知識やスキルを部下に教えること」をティーチングといいます。業務上で必要なスキルを身につけてもらうためにティーチングを実施します。

上司が部下に対して一方的に話して指導するのが特徴です。

2つの違いについて表で比較してみましょう。

概要
ティーチング部下が問題を解決できる能力やスキルをまだ持っていないときに教える。
フィードバック評価や1on1の時に部下の改善点や解決策を教える。

ティーチングとフィードバックでは、「指導するタイミング」に違いがあります。

コーチングと同様、ティーチングもフィードバックで使えるスキルなので身につけておくといいでしょう。

「レビュー」との違い

レビューを直訳すると、「評価」や「批評」という意味です。

最近ではECサイトの「カスタマーレビュー」という言葉が浸透しており、「感想」という意味で捉えてもいいでしょう。

フィードバックとの違いは以下のようになります。

概要
レビュー評価して感想を述べる成長につながるような改善点の指摘は基本的にない
フィードバック評価したうえで必ず改善点を伝える

改善点の有無でレビューとフィードバックは区別されます。

フィードバックの種類

フィードバックには、「ポジティブフィードバック」と「ネガティブフィードバック」の2種類があります。

部下の性格や信頼度によって使い分けが必要なため、両方のフィードバック手法について理解しておきましょう。

ポジティブフィードバック

ポジティブフィードバックは、部下の業務姿勢や成果を見て、良かったところについて指摘するフィードバック手法です。

部下の良い点を褒めることで、モチベーションの向上につなげられます。部下の得意分野をさらに強化したいときに有効です。

たとえば、「営業で年間売上を100万円獲得する」という目標を立てた社員が、90万円しか獲得できなかったと仮定しましょう。

この場合、以下のように伝えることで、部下の個性をさらに伸ばせます。

「売上獲得のためにチーム内で最も営業した件数が多く、その積極性は君の長所だと思う。今後も積極的に営業活動に挑んでほしい。」

上記のように部下が目標を達成できなかった場合でも、達成に向けて実施したことに対して上司が褒めます。

ネガティブフィードバック

部下の良い点を指摘するのがポジティブフィードバックであるのに対し、ネガティブフィードバックは、部下の良くなかったところを指摘します。

部下の改善すべき部分を伝え、解決策を教えます。

先ほどの、「100万円の売上目標に対して、90万円しか獲得できなかった社員」に、以下のようにネガティブフィードバックをしてみましょう。

「残り10万円を達成できなかった原因は何だろう?相手の購買意欲を促すスキルがまだ身についてないかもしれないね。○○がそのスキルを持っているから一度聞いてみて。」

状況に応じてティーチングやコーチングを活用しながら、部下が改善に向けて行動できるように指導します。

フィードバックで使われる6種類のフレームワーク

部下が納得できるフィードバックをするには、上司にスキルがないといけません。

しかし、はじめてフィードバックする上司の場合、まだスキルが身についておらず、うまく指摘できない可能性もあります。

部下が腑に落ちるフィードバックをするために、フレームワークを活用してみましょう。

以下の6つのフレームワークについて詳しく紹介します。

  • サンドイッチ型
  • ペンドルトン型
  • SBI型
  • KPT型
  • FEED型
  • マッキンゼー型

フィードバックのパターンを増やしたい方の参考にもなるので、ぜひ読んでみてください。

サンドイッチ型

サンドイッチ型フィードバックは「ポジティブ」→「ネガティブ」→「ポジティブ」の順でフィードバックする手法です。

ネガティブな部分を指摘したあとにポジティブな内容を伝えることで、部下のモチベーションの低下を抑えられるでしょう。

しかし、最後に褒めることで業務がうまくいっていると勘違いし、ネガティブな指摘の印象が薄れるリスクもあります。

サンドイッチ型フィードバックの例文

ポジティブチーム内で最も営業した件数が多く、積極性が感じられた。
ネガティブしかし、営業した件数が多い割に、顧客を獲得できた件数が少ない。もう少し営業スキルを身につけた方がいいだろう。
ポジティブとはいえ、4月~6月からの顧客獲得率が上がっているため、1月~3月までと比べると、スキルが着実に身についている。これからも積極性を活かしてスキルを伸ばしてほしい。

ペンドルトン型

部下の自主性を促すフィードバックのフレームワークとして、ペンドルトン型があります。心理学者のペンドルトン氏が提唱したことが名前の由来です。

上司と部下でコミュニケーションを取ることで、改善点と解決策を部下に考えさせ、次の5つのステップで会話を進めます。

  1. 確認
  2. 良かった点
  3. 改善点
  4. 行動計画
  5. まとめ

ペンドルトン型を導入することで、自ら考えて行動できるような人材を育成できます。

一方で、「部下が改善点や解決方法を思いつくまでに時間がかかる」というデメリットもあります。部下が内省できていないと成長につながりません。

ペンドルトン型フィードバックの例文

部下と上司が話し合って、以下の表のように改善点や行動計画を部下に考えさせます。

確認目標であった100万円の売上に対し、110万円の売上を獲得し目標を達成できた。
良かった点営業件数を増やしたことで多くの顧客を獲得できた。
改善点営業件数が多い割に顧客獲得件数が低かった。
行動計画先輩社員に自分が営業しているところを見てもらいフィードバックを受け、問題があれば改善する。
まとめまずは先輩社員に営業を見てもらえないかお願いする。

SBI型

SBI型は、以下の流れでフィードバックしていくフレームワークです。

  1. Situation:部下の置かれていた状況
  2. Behavior:部下が取った行動
  3. Impact:部下の行動によって起きた影響

SBI型を活用することで、部下が納得しやすいフィードバックを行えます。ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックのどちらにも対応していることも、SBI型の特徴です。

SBI型フィードバックの例文

Situation
(状況)
9月次点での組織内の売上獲得額が目標の半分以下だったため、ミーティングを実施した。
Behavior
(行動)
部下はミーティング中、売上につながるようなさまざまなアイデアを提案してくれた。
Impact
(影響)
部下のおかげで、他の社員もアイデアを出すようになり、目標達成に向けての方針が固まった。これからも積極的に会議で意見してほしい。

KPT型

KPT型では、上司と部下が話し合いながらフィードバックを実施します。

「Keep」「Problem」「Try」の頭文字をとってKPTと呼び、以下の手順で改善点を考えていきます。

  1. Keep:仕事の進め方で今後も継続してやるべきことについて話す
  2. Problem:部下の改善点について話す
  3. Try:改善に向けて行動すべきことを決める

KPT型を用いることで今後何をやるべきか明確になり、部下がスムーズに行動できるようになります。

KPT型フィードバックの例文

「エクセルのマクロを活用して事務作業の工数を10%削減する」という目標を達成したと仮定して、KPT型フィードバックをしたとしましょう。

上司と部下でコミュニケーションを取ることで、以下のような順序で部下に改善点を考えさせます。

Keep(継続すること)マクロの知識がなかったが、データ処理の自動化ができるレベルまで使いこなせるようになった。今後もマクロのスキルを磨いていく。
Problem(問題点)作成したマクロの操作が複雑なため、使い慣れるのに時間がかかる。
Try(改善)全員が簡単に使えるようUIを意識して作成する。マニュアルを作成して共有する。

FEED型

FEED型は以下のように順序立ててフィードバックできるフレームワークです。

  1. Fact:部下の行動
  2. Example:部下の行動に対して指摘する理由
  3. Effect:部下がその行動をしたことによる影響
  4. Different:改善点

FEED型を活用するメリットとして、部下の行動から改善点までをわかりやすく説明できる点があります。

FEED型フィードバックの例文

Fact(部下の行動)今日の会議の場所はA室を予約したの?
Example(理由)今日は参加人数が少ないから、B室かC室を使ったほうがいいと思ってね。
Effect(影響)最近は大人数で会議することもあるから、A室を予約すると困る事業部が出てくるし。
Different(改善点)次からは5人くらいの会議ならA室以外の会議室を予約してね。

マッキンゼー型

大手コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーが実施しているフィードバック手法を「マッキンゼー型」といいます。

マッキンゼー型は以下の流れで上司が部下に改善点を伝えます。

  • Part A:改善してほしい点の指摘
  • Part B:上司が感じたこと
  • Part C:改善策の提案

率直な気持ちを伝えることで、ただ改善点を伝えるだけよりも部下の改善意識が高まるでしょう。

マッキンゼー型フィードバックの例文

Part A(指摘)いつも残業してデータ整理しているよね。
Part B(思ったこと)この前の役員会議で残業規制が厳しくなったから、データ整理のために残らないで欲しいな。
Part C(改善策)この作業ならこのショートカットキーを使えば作業効率あがるから使ってみて。

人事評価における効果的なフィードバックのポイント

人事評価で部下の成長を促すフィードバックができるよう、以下の4つのポイントを把握しておきましょう。

  • 信頼関係を構築する
  • 日常的にフィードバックする
  • 客観的な根拠を用いて説得力のあるフィードバックを心がける
  • 言葉遣いや態度に気を付ける

部下をもったばかりで、人事評価をはじめて担当する方は読むことをおすすめします。

なお、部下の成長にはフィードバックも重要ですが、人事評価制度が適切に整備されていることが前提条件です。

もし今の人事評価制度に問題点があれば、新しく人事評価制度を導入してみてはいかがでしょうか。

弊社では、「日本企業の人事評価制度にどうやってOKRを取り入れるか?」というOKRの導入に興味がある方に向けた資料を配布しています。

OKRの導入方法について詳しく把握できますので、ぜひこちらからダウンロードしてみてください。

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信頼関係を構築する

信頼関係がないと、部下は上司の話に聞く耳を持ちません。「仲が悪いから上司が厳しい評価をする」と勘違いし、フィードバックを受け取ってくれない可能性があります。

部下の問題点を改善してもらうためにも、日ごろから上司と部下で話す時間を作り、信頼関係を構築しましょう。

日常的にフィードバックする

人事評価以外にも週1回~月1回程度の間隔でフィードバックすることをおすすめします。

部下と上司で話す時間が増えるため、部下の上司に対する信頼度向上に有効です。日ごろからアドバイスすることで、部下の成長スピードをより高められます。

たとえば1on1を導入して、組織全体でフィードバックを実施できるようにしましょう。

1on1の実施手順について知りたい方はこちらの記事で紹介していますので、あわせて読むことをおすすめします。

1on1とは何か?人事面談との違いや1on1の実践方法をご紹介!

客観的な根拠を用いて説得力のあるフィードバックを心がける

「君はやる気がないから達成できなかったんだ」のような、主観的なフィードバックをしてはいけません。根拠のない理不尽なフィードバックは、部下のモチベーションを下げてしまいます。

業績や目標達成率などを確認して、客観的なデータに基づいたフィードバックを心がけてください。

論理的に問題点を指摘することで、部下も納得して改善に向けて行動するようになるでしょう。

言葉遣いや態度に気を付ける

部下がフィードバックで嫌な思いをしないために、不適切な表現や高圧的な態度は避けましょう。

批判するような言い方をすると部下にストレスがかかり、離職するきっかけになるかもしれません。

部下が安心して話を聞けるよう、上司はできるだけ落ち着いた口調で話すようにしましょう。

部下の性格に合わせて最適なフィードバックをしましょう

フィードバックでは、部下の問題点を指摘しつつ、モチベーションを維持させることが大切です。

ポジティブフィードバックやネガティブフィードバックをうまく使い分けることで、部下に寄り添った指導を心がけましょう。

今回紹介したフレームワークの中には、改善点を明確に指摘できるものや、部下の自主性を促すものもあります。

部下の性格や能力に合わせて、最適なフィードバックを実施してみてください。

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