2022.6.24
「社員が会社をやめていく…」と悩んでいる方へ、フォローアップを実施してみてはいかがでしょうか。
フォローアップは「社員の成長を手助けする取り組み」の1つで、部下のエンゲージメントを高める効果があります。
初めてフォローアップを実施する企業だと、「具体的に何をすればいいかわからない」という方も少なくないでしょう。
この記事では、フォローアップの概要や社員の離職率が高くなる原因などを解説します。
フォローアップを実施して離職率を抑える方法を知ることができますので、ぜひ参考にしてみてください。
フォローアップの意味を調べると、「ある事柄を徹底させるために、あとあとまでよく面倒をみたり、追跡調査をしたりすること(引用:Weblio 辞書)」と出てきます。
フォローアップという言葉は、さまざまな場面で使われているため、意味を1つに定めるのは簡単ではありません。
たとえば医療業界では、治療した患者の経過観察をし、体調の変化を聞く診療という意味の「フォローアップ外来」という言葉があります。
ビジネスシーンにおいても、医療業界とは違う意味でフォローアップが使われています。以下で詳しく解説しますので、見てみましょう。
ビジネスでは、「研修後の知識やスキル、企業理念定着への支援を定期的に実施すること」をフォローアップと言います。
ビジネスシーンで使われるフォローアップに関連した言葉として、以下の3つがあるので紹介します。
フォローアップ研修は、研修で学んだことを振り返るための研修です。主に新入社員向けに実施されます。
ただ単に研修内容をおさらいするだけでなく、「会社での悩みがないか」「モチベーションが持続できているか」などを確認します。
フォローアップ研修の内容は、企業や実施するタイミングによって異なる場合が多いです。研修で学んだことや今後の課題についてプレゼンするような研修もあります。
フォローアップセミナーは、受講したセミナーで得た知識やスキルをさらに深めるためのセミナーです。
最初に受講したセミナーで基本的なことを学習し、実践で使えるように落とし込むときにフォローアップセミナーがよく実施されます。
「学んだことを振り返る」という意味では、フォローアップ研修と似ています。
商品についての情報提供や、商品のトラブル確認のために顧客へ送るメールをフォローアップメールといいます。
商品の改善点の発見や、顧客満足度の向上に有効です。
「フォロー」と「フォローアップ」の違いについても把握しておきましょう。
「フォロー」とは、サポートすることです。業務の遅れをカバーしたり、作業に慣れていない新入社員を手伝ったりすることがフォローに該当します。
一方、「フォローアップ」は、特定の仕事ができるようになるための成長をサポートすることを指します。
「フォロー」は業務に対するサポート、「フォローアップ」は成長に対するサポートと考えてよいでしょう。
フォローアップの方法として以下の4つがあります。
自社の人材育成制度に合ったフォローアップの手法が見つかるかもしれませんので、ぜひ読んでみてください。
代表的なフォローアップの手法として、フォローアップ研修があります。
先ほど述べたように、フォローアップ研修は、研修後に学習した知識やスキルを振り返り、さらに理解度を深めるための研修のことです。
フォローアップ研修の実施によって、研修で得られた成果や業務での問題点を確認し、キャリアアップのために次にやるべきことを洗い出します。
研修は複数回実施することが基本です。
企業によって異なりますが、新人研修の場合、新人研修後の3ヶ月後や半年後、1年後などで行われます。
また、タイミングごとで研修内容も変えます。例を見てみましょう。
上記のように、経過時間とともに最適な研修をします。
人事担当者が社員をフォローアップする「人事面談」があります。人事面談は、普段社員が言えないような悩みや課題を話す機会として実施されます。
本来なら同じ部署の先輩や上司に相談すべきですが、所属部署での悩みであれば言いにくいこともあるでしょう。
所属部署と関係ない人事担当者と面談することで、社員は安心して悩みや本音を打ち明けられます。人事部にとっても社内で改善すべき点を見つける機会となり、離職防止が期待できます。
メンター制度とは、新入社員を育成するための取り組みです。他部署で年齢の近い先輩社員がメンター(助言者)となって、新入社員をサポートします。
新入社員が業務や人間関係で悩み抱えていれば、アドバイスをして、不安を取り除くのがメンターの役割です。
メンターは他部署の社員であるため、新入社員は所属部署に関する悩みを素直に話せるでしょう。
フォローアップを実施したい方にとって、メンター制度の導入を検討することも1つの手段です。こちらの記事でメンター制度の導入ステップを知ることができます。
多くの企業が実施している施策として、上司からのフォローアップがあります。
直属の上司であれば、部下の業務内容や性格を把握しているため、最適なフォローアップが可能です。
1on1ミーティングを定期的に実施することで、部下との信頼関係を築けます。お互い話す機会が増えることで、日々の課題や悩みについて率直に話せるようになります。
部下にとっては、スキル向上のアドバイスや上司のノウハウを聞ける機会となるため、成長にもつながるでしょう。
1on1を実施したいと考えている人事部の方は、実施ポイントが記載されている以下の記事もおすすめです。
1on1とは何か?人事面談との違いや1on1の実践方法をご紹介!
少子高齢社会で労働人口が減少している中、多くの企業で社員の離職が深刻な問題となっています。
厚生労働省が公表した「新規学卒就職者の離職状況」では、就職後3年以内の離職率が以下の表のようになっていることがわかりました。
学歴 | 就職後3年以内の離職率 |
---|---|
高校 | 36.9% |
短大 | 41.4% |
大学 | 31.2% |
社員が離職すると、業務負担の増加やモチベーションの低下など、さまざまな悪影響が起きます。
そこで、離職する社員を減らすためにフォローアップが有効です。適切なフォローアップをすることで、社員のエンゲージメントが向上する効果があります。
会社での悩みや相談を解決することで、会社への定着率が高まるでしょう。
フォローアップで離職を防止する前に、社員の離職理由を把握しておきましょう。以下のような理由があるので、それぞれ解説します。
「残業時間が多いわりに収入が少ない」「休日が少ない」など、労働環境に問題があると社員が離職しやすいです。
残業が多いと仕事によるストレスが増えるため、メンタル面に不調も出てきます。不調が続いた結果、社員が休職するケースも少なくありません。
少しでも労働環境のいいところに転職したくなるため、離職する社員が増えます。
上司との関係がうまくいっていなかったり、パワハラにあっていたりすると、社員は会社を辞める可能性が高いです。
上司と関係が悪いと、適切に評価されない可能性があるため、会社に不満をもちやすくなります。結果、モチベーションが低下し、転職を意識するようになるのです。
また、社内で話せる人がいないとストレスがたまりやすくなり、やめたいという気持ちが高まります。
業績が低迷している企業や今後衰退していく事業をもつ企業では、社員が企業の存続に対して不安を抱きやすいです。
今の会社の将来性が心配になることで、需要が安定している企業への転職を望むようになります。
ガソリン車事業のみの自動車部品メーカーや、デジタル化が進んで衰退している出版会社などで、今後離職者が増えると考えられます。
社員が離職することは、会社にとってデメリットがたくさんあります。
ここでは、以下の3つの離職リスクについて紹介します。
今一度リスクについて知ることで、離職防止への意識を高めましょう。
採用活動を実施すると、以下のような費用が発生します。
採用後の育成も考慮すると、他の社員の工数を使うことになるため、時間的なコストも発生します。
離職率が高いと、採用コストが膨大になり、事業で得た利益を採用コストとして使わなければなりません。
退職した社員の担当していた業務が残っていた場合、同じチームの社員たちが引き継がなければなりません。
引き継いだ社員は現在の業務と同時進行で業務をこなす必要があるため、負担が大きくなります。結果、その社員もストレスを感じ、離職したいという気持ちが増すのです。
1人が会社を辞めることで、芋づる式に複数の人が離職するおそれがあるので、会社にとって大きな損失となるでしょう。
来年度の事業計画を立てるとき、現在の社員数と採用人数を考慮することが一般的です。
退職者を見越して事業計画を考えることもありますが、退職者が多すぎる場合、事業計画が予定通りに進まない可能性があります。
優秀な人材が流出した場合、企業の競争力が低下するので、退職者の多い企業はリスクが高いです。
フォローアップが離職率を減少させる効果があるということを説明しました。
ここでは、「具体的に何をすればいいかわからない」という方のために、離職を防止するポイントを6つ紹介します。
人事評価制度に不満があって退職した社員がいたら、評価制度を見直しましょう。
「評価基準が曖昧でないか」「不公平な評価になっていないか」などを確認し、問題があれば改善します。
評価者が評価スキルを身につけられていないのであれば、研修の実施も検討しましょう。
評価基準が明確になるので、社員が正当に評価されていると感じ、離職率を抑えられます。
なお、適切な評価をするためには、考課表の書き方が重要になります。弊社では「結果を出すマネージャーの考課表の書き方」の資料を配布しています。
こちらのリンクからダウンロードできますので、ぜひ読んでみてください。
140社以上のOKR導入コンサルティング実績のあるResilyが発見した、結果を出すマネージャーの考課表の書き方をまとめた資料が以下から無料でダウンロードできます。ぜひご活用ください。
目標管理制度とは、社員が自ら目標を設定し、達成度合いで人事評価を決める制度です。
自ら目標を設定することで、達成したいという意欲が高まり、社員が自主的に行動するようになります。
また、自分で試行錯誤しながら目標を達成することで、社員が大きな自信を持てるようになります。
成功体験ができることで、次のステップにチャレンジしたいと思うようになり、会社で働き続けたい気持ちが増えるでしょう。
なお、目標管理のフレームワークであるOKRを導入することで、組織と個人の目標をリンクさせて管理できます。
組織の方向性の統一や社員同士のコミュニケーション活性化に効果があり、生産性を向上へとつながります。
OKRの目標設定方法について知りたい方は、こちらの記事で詳しく把握できます。
OKRとは?【Google採用の目標管理手法】意味、導入事例、KPIやMBOとの違いを解説
社員のメンタルを管理することで、離職のリスクを減らせます。2015年より義務化されたストレスチェック制度によって、社員のメンタル面での不調を把握できるようになりました。
ストレスチェックの結果で不調な社員を見つけたら、フォローアップしてストレスを和らげましょう。
ストレスの原因をヒアリングすることで、労働環境の改善にもつながります。
社員の離職防止は、人事部だけでは難しいので、各部署の管理職の協力も必要です。管理職のマネジメントスキルによって、社員のエンゲージメントを向上させられるため、離職率を抑えられます。
しかし、管理職に昇格したばかりの社員の場合、マネジメントスキルが身に付いていない場合があるでしょう。
管理職の経験が浅い人でも適切なマネジメントをできるようにするには、人事部での教育が欠かせません。
マネジメントに関する研修を実施して、管理職のスキルを伸ばしましょう。
「残業時間が多い」「有休が取れない」など、労働環境に問題があれば改善しましょう。
社内ルールとして残業時間の上限を決めたり、有休消化を義務化したりすることで、社員のモチベーションがあがります。
福利厚生も改善して、ワークライフバランスを重視した労働環境を整えましょう。
仕事にはトラブルがつきものですが、社員の中にはささいなことでストレスをためてしまう人もいるでしょう。
そのような社員のために、悩みや意見を言える環境を作ることで、ストレスを低減できる可能性があります。
アンケートやフォローアップを実施し、得られた意見をもとに会社の問題点を改善しましょう。
フォローアップは社員の成長促進や離職防止を目的とした取り組みの1つです。
フォローアップ研修を実施することで、研修で学んだことをより深く学べるため社員のスキルがよりブラッシュアップされます。
また、上司やメンター、人事担当者が若手社員のサポートをすることで、社員のエンゲージメントを高められます。素直に話せる相手がいることで、ストレスが低減でき、退職したい気持ちを抑えられるのです。
社員から得られた率直な意見によって、労働環境の改善や評価制度の見直しなどができ、効率良く離職率を抑えられるでしょう。
社員が働きたいと思える会社を作るために、あなたの会社でもフォローアップを実施してみましょう。