2023.6.27
「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2022」によると、およそ7割の管理職の人が「若手の人材育成」に課題を持っています。「自分の業務が忙しく育成までに気を配れていない」「具体的な育成方法が分からない」と考えている方も多いのではないでしょうか?
この記事では「部下を育てる4つのステップ」や「部下の育成に役立つ4つの取り組み」について紹介します。部下の成長を促し、組織全体の基盤を強化しましょう。
会社全体の戦力アップには部下の育成が必要不可欠です。例え同じ人数でも、1人当たりの業務効率が向上すれば自然と組織全体の力も上がります。他にも部下が成長すれば、今まで育成にかけていた時間を「業務改善」や「新規プロジェクトの推進」などに当てられます。「上司自身のスキル向上」や「会社からの評価アップ」も期待できるでしょう。
人材育成のポイントについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も合わせてご覧ください。
株式会社リクルートマネジメントソリューションズの「マネジメントに対する人事担当者と管理職層の意識調査2022」によると、管理職層は以下を「会社の組織課題」として挙げています。
会社の組織課題 | 割合 |
---|---|
次世代の経営を担う人材が育っていない | 64.7% |
ミドルマネジメント層の負担が過重になっている | 62.0% |
中堅社員が小粒化している | 58.0% |
新人・若手社員の立ち上がりが遅くなっている | 55.3% |
実際に多くの管理職層が、「若手の人材育成」を組織課題として考えています。今回紹介する「部下を育てる4つのステップ」や「具体的な取組み」を参考にして、課題を解決しましょう。
「仕事ができる部下」「仕事ができない部下」の特徴として以下の内容が挙げられます。
仕事ができる部下の特徴 | 仕事ができない部下の特徴 |
---|---|
セルフマネジメントができる | タスク管理ができない |
現状課題を把握し改善できる | 自分で業務を進められない |
自分で仕事を生み出せる | 常に上司の指示が必要な状態にある |
タスク管理や体調管理はもちろんのこと、現状の業務課題を見極め行動できることが重要です。課題改善以外にも、「売上拡大施策」や「顧客満足度向上施策」などの新規施策を考えられれば、周りからの信頼も高まります。部下育成の目標にしましょう。
できる上司は部下を育てる時、以下の内容を意識しています。
目標や期限を明確にすることで、部下が感じる不安要素を取り除けます。負担はかかりますが、部下の特徴に合わせて依頼の仕方を変えられると成長速度にも差がでるでしょう。
仕事を依頼するときに「これやっといて」「考えといて」と目的や期限を曖昧にしていませんか。仕事の「全体像の理解」や「締切」を把握できず、上司との認識に違いを生む可能性があります。以下のように明確な依頼を心掛けましょう。
「明後日午後4時に売上報告会があるから、参加者が視覚的に分かりやすいグラフを使って資料をまとめて欲しい。明日の午後5時までに提出してください。」
期限を設定することで、他のタスクとの優先順位を付けやすくなります。具体的な資料の方向性も示しているため、部下の不安要素も取り除けます。
部下の育成はそれぞれの特徴を把握した上で、適切な依頼をすることが重要です。部下によって強みや弱みがあり、業務の適性に違いがあります。強みの活かせる業務を依頼して「自信をもってもらうこと」がポイントです。
トレンドを追うことや情報収集が得意なら「企画立案」、現状のデータを見て改善ポイントを洗い出すことが得意なら「データ分析」など個人にあった業務の依頼がよいでしょう。
組織の全体効率を上げるためにも、まずは個人の強みを最大限活かすことが大切です。必要に応じて「部下の弱み」も改善できるように業務計画を立てましょう。
できる上司は「環境が人を育てる」という言葉を実行しています。多くの企業では「教育や研修」に力を入れますが、成長を一番に考えるのならば、「自分で仕事ができる」という自信をもたせることが大事です。
効果的なのは、部下自身に「その仕事をやります」と宣言させ、それを承認することです。以下の例は「日々の業務下での宣言」ですが、面談時に「どんな仕事がやってみたい?」と直接聞いてもよいでしょう。
上司:「最近、Web広告からの売上が下がっているけど、何か実績の変化ある?」
部下:「1件あたりの購入金額の低下が原因かもしれないです。」
上司:「そうか。他にも要因ってありそう?」
部下:「そもそもWeb広告のセグメントを変えたのが影響しているかも知れないですね。一度原因分析してから、再度ご報告させてください。」
「部下がなかなか育たない」と感じる場合には、以下の行動をしていないか注意しましょう。
適切なコミュニケーションを取ることで部下との信頼関係を築けるので、部下は業務上での質問をスムーズに行えます。ただし「必要以上に指示を出す」「成果のみを評価する」などは、部下の成長を妨げるので注意が必要です。
日頃から適切なコミュニケーションを取ることで、業務の「進捗度」や「課題」を把握できます。他にも上司とのコミュニケーションに負担がないことで、部下は「懸念点」や「問題」について素早い対応ができるでしょう。
仲良くなることではなく、部下の状況を把握して的確な指導をすることが目的です。お互いの業務効率の向上にもつながるので意識してみてください。
丁寧に教えることは大切ですが、すべてを教えることは部下の成長につながりません。仕事をする上で重要なのは「自分自身で考え判断する力」です。もちろんシステムや法律のことなど、すでに決まっていることに関しては教える必要があります。
質問される度に教えるのではなく、まずは部下自身に「調べる」「考える」ことを徹底しましょう。受け身の姿勢でなく、部下に主体的に行動させることが大切です。
課長や部長クラスになると「成果」を評価するのが基本になりますが、若手育成時には「プロセス」も評価対象にすることがオススメです。ただ、若手の内は「成果」が出ないこともあるでしょう。そのような時に「成果」のみで評価すると、「モチベーションの低下」や「精神的な負担」にもつながります。
はじめの内は「やる気」や「スピード」など、「業務への取組み姿勢」も考慮して評価しましょう。フィードバック時には「目標と現実のギャップがどうしたら埋まるか」など、具体的な改善策について相談できるといいですね。
部下を育てるのが上手い上司は教え方に特徴があります。今回は以下4つのステップで育成法を紹介します。
成長には、自分でもできたという「自信につながる成功体験」や反省を次に活かそうとする「失敗体験」を積むことが重要です。「仕事を任せる→フィードバックする→新しい仕事を任せる」というサイクルを意識しましょう。
見本となる社員がいない状態では、いくら優秀な部下でも成果は出せません。まずは上司自身が部下の手本となるような行動をとる必要があります。業務の進め方やトラブル発生時の対応など、参考にできるように都度共有するのがオススメです。
手本を見ることで部下自身も業務の仕方を理解でき、上司への信頼度も増すでしょう。新しい業務を教える際にも「まず手本を見せること」を忘れないでください。
「部下を育てるのが上手い人の特徴」でも似た内容を紹介しましたが、業務の目標や意図を伝えることは重要です。「なぜその業務をするのか」を教えずに依頼してしまうと、他の業務との関係性をつかめず、後で問題に発展することも考えられます。
目標や意図が明確であれば、業務に対するモチベーションも上がるため、業務効率の向上にもつながるでしょう。
ある程度基礎ができるようになったら、部下に仕事を任せることが大切です。仕事を任せられることにより、部下は自分に自信がもてるようになり、業務への姿勢も変わるでしょう。
気を付けるべきポイントは「成功体験」と「失敗体験」を両方積ませることです。確実にできるであろう業務だけではなく、「少し現状のスキルでは厳しいかもしれない」というラインの業務も依頼して成長に結びつくようにサポートしましょう。
業務に対して成果が出たのなら、良かった点をしっかり伝え、部下を認めてあげることが大事です。「認められた」と感じる回数が増えるほど、自信につながりモチベーション高く業務に取り組みます。
たとえ成果が出なかった場合でも、改善できる点を一緒に考えることで次の業務に活かせます。適切なフィードバックをすることで部下も期待を感じ取り、良いプレッシャーの中で業務ができるでしょう。
ここまでは部下育成のポイントや具体的な方法について紹介しました。最後に部下を育てる上で役立つ具体的な取り組みを4つ紹介します。
それぞれ特徴があるので、自社に合うものを取り入れましょう。「コミュニケーションの機会の増加」や「部下の成長速度向上」にもつながります。
1on1とは、上司と部下が1対1で行う定期的な面談を指します。週に1回〜月に1回ほどの頻度で、1回あたり30分〜60分ほどで実施されることが一般的です。
部下の成長促進を目的として、「業務の悩み」「キャリアの相談」などのテーマで実施します。上司から部下へ一方的な評価を伝える面談とは違い、1on1は上司と部下の「対話」を重視しているのが特徴です。コミュニケーションの機会を増やし、部下との信頼関係構築に役立ちます。
1on1の具体的な方法について知りたい方は、詳しく紹介している以下の記事を参考にしてみてください。
1on1とは何か?人事面談との違いや1on1の実践方法をご紹介!
抜擢人事とは、特定のポジションに人員をアサインするときに「実力とスキル」に注目するのが特徴です。そのポストで成果を出せそうな従業員は誰かを考え、適切だと思われる人材を登用します。
入社時期や勤続年数、現在のポジションは考慮されません。あくまでもその人が発揮できそうなスキル、期待できる成果にもとづいて判断します。人は環境によって大きく成長できるため、このような人事で成長を後押しするのもよいでしょう。
抜擢人事のコツや導入事例については、以下の記事で紹介しています。
ht抜擢人事とは?適材適所の人員配置に欠かせない人事のコツを紹介
メンター制度とは、他部署の先輩社員(メンター)が、新入社員・若手社員(メンティー)の成長を支援する制度です。若手社会人の精神的な悩みやキャリア形成の支援を目的としています。
若手社員の「悩みの言語化」や「解決策の提案」が必要となるため、メンター自身の成長にもつながります。相談される立場になることで、物事をより客観的に見られるようになるでしょう。
以下の記事で、メンター制度の導入法や効果を高めるポイントについて紹介しています。あわせてご覧ください。
コーチングとは、相手の自主性を促し、能力を最大限に引き出すコミュニケーション手法です。対話の中で相手自身に答えを導き出させるのがポイントです。
コーチングする際には、以下の内容に注意しましょう。継続することにより「自分自身で課題を乗り越える力」を身につけられます。
部下を育てる上で重要なのは「自信を持たせること」です。そのためには、「上司からの承認」が鍵になります。部下とのコミュニケーション時に「信頼していること」を伝えるようにしましょう。
今回は「部下の育て方」にフォーカスして紹介しましたが、以下の資料では「マネージャーの重要性・役割」や「マネージャーを育てる施策」について詳しく解説しています。ぜひ合わせてご覧ください。