部下のやる気を引き出す7つの方法 | 大切なのは「言葉選び」BLOG

 2022.7.28

「部下のやる気を引き出すこと」は上司にとって重大な任務です。

やる気のない部下がいると社内の雰囲気が悪くなり、組織の生産性が低下する可能性があります。

組織のモチベーションを維持するためにも、上司はやる気のない部下をサポートしなければなりません。

本記事では、上司が部下のやる気を引き出す方法や伝え方について詳しく紹介します。やる気のない部下の対応に悩んでいる方はぜひ読んでみてください。

仕事に対して部下がやる気を出せない理由

仕事に対して部下がやる気を出せないのは、部下と上司それぞれに原因があると考えられます。ここでは部下自身に原因があるパターンを紹介します。

主に以下の5つの要因があるので、どのような心理状態でやる気が起きないのか把握しておきましょう。

  • 良好な人間関係が築けていない
  • 将来に不安がある
  • 業務内容に不満がある
  • 評価に不満がある
  • 給料や福利厚生に不満がある

良好な人間関係を築けていない

上司や周りの社員と良好な関係が築けていないと、仕事に対するモチベーションが低くなります。上司や周りから理不尽な扱いを受けることで組織に対して不満が高まるのです。

部下が上司を尊敬できなくなると、上司がどれだけいい指導やアドバイスをしても聞く耳をもちません。

上司に相談や報告をする頻度が低くなるため、部下のやる気を感じない場合もあるでしょう。

将来に不安がある

自分のキャリアや会社の将来性に不安があると、部下は自社で働き続けることに疑問を感じるようになります。

「会社の業績が年々下がっている」「将来やりたいことが本当にできるのか」という状態では仕事への意欲が落ちるでしょう。

不安が高まると会社の経営方針に対しても疑いの念をもつようになり、自社で働きたい気持ちが減ってしまうのです。

業務内容に不満がある

「自分のやりたい仕事でない」「業務内容が簡単すぎる、もしくは難しすぎる」のように、業務内容に不満があるとモチベーションが下がります。

「なぜ自分がこの業務をしなければならないのか」がわからないと、業務に魅力を感じず手をつけようとしません。

希望や能力に合わない業務を部下に振ることで、部下は仕事に対して消極的な気持ちになるでしょう。

評価に不満がある

人事評価制度は部下のモチベーションに大きく影響します。もし上司が主観で厳しい評価をしていた場合、部下は評価に不満を感じるでしょう。

優秀な成績を収めたのに評価が低いと「何をすれば評価がよくなるか」がわからなくなり、モチベーションが下がります。

ただし、評価に不満があるのは上司の評価エラーが原因でなく、人事評価制度に問題があるからかもしれません。

人事評価制度の導入手順を以下の記事で紹介していますので、人事評価の見直しを検討している方はぜひご覧ください。

人事評価制度とは?メリット・デメリットと導入手順を紹介

給料や福利厚生に不満がある

給料が低かったり有給休暇を取得できなかったりすると、部下のやる気が下がります。

業務の難易度や労働時間に見合う給料をもらえないと、部下は会社に対して不満をもつでしょう。

また、休日が少ないと心身ともにダメージを受けてしまい、仕事へのモチベーションを維持できなくなります。最悪の場合、部下が退職する可能性もあります。

上司が原因で部下のやる気が出ないパターン

部下のモチベーションが下がる原因を上司が作っている場合もあります。もし以下の3つのことを部下にした記憶があれば、すぐに止めるようにしましょう。

  • 必要以上に部下の失敗を責めている
  • 相手によって態度を変えている
  • 部下のことを考えずに業務を押し付けている

必要以上に部下の失敗を責めている

部下が失敗した時、繰り返し失敗しないように指導するのが上司の役割です。しかし、必要以上に怒鳴ったり、責め続けたりしてはいけません。

「あれだけ失敗するなと言っただろ!」と感情的に叱責すると、部下が萎縮してやる気が下がります。

部下がどれだけ重大なミスをしたとしても冷静な態度で指導し、再発防止に取り組むことが大切です。

相手によって態度を変えている

上司が相手によって態度を変えていると、部下は上司を不快に思いモチベーションが下がります。

たとえば、役員や管理職に対しては謙虚な姿勢を示しているのに、部下にだけ横柄な態度を取っていると信頼が損なわれるでしょう。

複数の部下をもつ上司の場合、部下との親密度によって賞賛や指導の頻度に差が生まれ、不満をもつ部下が現れるでしょう。

信頼関係を築くためにも、上司はそれぞれの部下に対して平等に接してあげましょう。

部下のことを考えずに業務を押し付けている

上司はさまざまな業務を抱えているため、部下に仕事を任せたい時もあるでしょう。

部下に業務を振ること自体は悪くないですが、部下の都合を考えずに押し付けるのはよくありません。

部下にも自分の仕事があるのに、急に仕事を振られたら不満を感じます。

仕事を押し付けないよう、部下に「工数に余裕があるか」「残業できるか」を聞いて問題ないことがわかれば依頼しましょう。

部下のやる気が上がるタイミングとは?

部下のやる気を引き出すためには「どうすれば仕事へのモチベーションが上がるか」を知ることが重要です。ここでは、部下のやる気がでるタイミングを表でまとめたので参考にしてみましょう。

タイミング概要
上司に褒められた時・信頼できる上司に褒められると認められたと感じ自己肯定感が上がる
・褒め方によってはモチベーションが下がるので注意が必要
難易度の高い業務を遂行できた時・自分の能力よりも高い業務を遂行したことで成長を実感できる
・難易度の高い業務を任された時点で上司から信頼されていると感じ、モチベーションが上がる
新しいことができるようになった時・過去にできなかったことを努力してできるようになったことで達成感が得られる
・仕事の幅が広がりモチベーションが上がる
目標を達成したとき・自身で設定した目標を達成することで成功体験となる
・高い評価を受けることで次期はさらにレベルの高い目標に挑戦したいと思うようになる

上記の機会を作ることで、部下のやる気が引き出せるでしょう。

部下のやる気を引き出す7つの方法

部下のやる気を引き出す具体的な方法として以下の7つを紹介します。

  • 業務の目的を共有する
  • 業務中によかった点があれば褒める
  • 動機付けをする
  • フィードバックをする
  • コーチングして主体性を促す
  • 1on1を実施する
  • 納得のいく人事評価をする

すぐに実践できる施策もあるので、部下のモチベーションを高めるために試してみましょう。

業務の目的を共有する

部下が仕事にやりがいを感じてくれる方法として、業務の目的を共有するというやり方があります。

業務の目的を知ることで「この業務をすれば社会に貢献できる」という気持ちが高まり、仕事への意欲が向上するでしょう。

「何のための業務なのか」「どのような結果が期待されているのか」を部下に伝えて、働く意味を高めましょう。

業務中によかった点があれば褒める

小さなことでも褒めることで部下のモチベーションが向上します。

「会議でのあの発言はよかった」「前よりも業務スピードが上がった」と伝えるだけでも小さな成功体験となり、部下の自信につながるでしょう。

ただし、あまりにも簡単なこと褒めすぎると部下が「バカにされている」と思う場合があります。

部下のやる気を出すためにも、部下の能力や性格に合わせて褒める必要があります。

動機付けをする

動機付けとは「目標や目的を設定することによって行動を起こすこと」をいいます。

動機付けによって部下が業務を成し遂げたい気持ちになり、自主的に行動するように促せるのです。

動機付けには「外発的動機付け」と「内発的動機付け」があります。それぞれ以下のような意味があるので見てみましょう。

  • 外発的動機付け:昇給や昇格などの他者からの動機付け
  • 内発的動機付け:仕事への興味や自己実現などの自身の心から生まれる動機付け

2つの動機付けが明確になることで長期的にモチベーションを維持できるようになります。

部下の動機付けを促す方法はいくつかありますが、組織規模で動機付けを実施するのであればOKRを導入してみてはいかがでしょうか。

OKRは組織と個人の目標を結びつけて管理する目標管理手法の1つです。

OKRで目標を設定することで部下の内発的な動機付けを促せるため、組織や個人の目標達成率を上げられる効果があります。

こちらの記事でOKRの仕組みやメリットについて詳しく把握できますので、ぜひ参考にしてみてください。

OKRとは?【Google採用の目標管理手法】意味、導入事例、KPIやMBOとの違いを解説

フィードバックをする

部下に成長を促す方法としてフィードバックがあります。適切なフィードバックをすることで部下が成長するために何が必要かがわかり、モチベーションを向上できるでしょう。

フィードバックには、ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックがあり、それぞれ以下のように使います。

概要
ポジティブフィードバック部下のいい点を褒めて肯定的なアドバイスをする「会議で積極的に発言する姿勢は評価に値するので、今後も続けてほしい」
ネガティブフィードバック部下の業績や仕事に取り組む姿勢に対して改善点を指摘する「会議での発言が少ないからもう少し積極的に自分の考えを伝えてほしい」

フィードバックでは、ポジティブフィードバックとネガティブフィードバックをバランスよく盛り込むことが大切です。

ポジティブフィードバックで部下に自信をつけさせ、ネガティブフィードバックで改善を促します。

もしフィードバックの質を高めたいのであれば、こちらの記事を参考にしてみましょう。フィードバックのコツやフレームワークについて詳しく知ることができます。

フィードバックの効果を高めるコツを紹介 | 代表的な3つのフレームワークも解説

コーチングして主体性を促す

部下の自発的な行動を促すために、コーチングを用いるのも1つの手段です。コーチングは目標を達成できるよう、部下に気づきを与える指導方法のことをいいます。

上司が傾聴や質問を繰り返すことで、部下の中にある課題や悩みの解決方法を引き出します。

コーチングによって、部下が自分で考えて動いていると思えるようになり自主性を促せるでしょう。

1on1を実施する

キャリアプランの設計や目標の進捗確認のために1on1を実施するといいでしょう。定期的に部下と話す機会を設けることで部下との関係を深められます。

部下の将来の不安や現在の業務について率直な意見を聞き、上司が的確なアドバイスをすることで部下のエンゲージメントが高まるでしょう。

他にも1on1を導入することでさまざまなメリットが得られます。こちらの記事で詳しく解説していますのでぜひ読んでみてください。

1on1とは何か?人事面談との違いや1on1の実践方法をご紹介!

納得のいく人事評価をする

適切に人事評価をすることで部下は評価に満足できます。上司が自分の頑張りを認めてくれていると感じるようになり、部下のモチベーションが上がるでしょう。

人事評価のポイントとして客観的な根拠を用いて評価することが挙げられます。日々部下の様子を観察して良い点や改善点を探し、人事評価シートに記入して部下にフィードバックしましょう。

人事評価シートの書き方を知りたい方はこちらの記事も参考にしてみてください。

業種ごとの例文を記載しているので、自分の部署に合う人事評価シートの書き方を把握できるかもしれません。

従業員のための人事評価シートの概要。サンプルを用いて具体的な書き方を解説

部下のやる気を引き出すには「言葉選び」が重要

部下のやる気を引き出すには普段からのコミュニケーションが欠かせません。

日常会話で信頼関係を築いておくことで、尊敬している上司から良い評価をもらえるよう部下が頑張ろうとします。

ただし、言葉選びを間違えることで、簡単にモチベーションが下がるので注意が必要です。部下を傷つけるような言い方をしないために言葉の使い方を把握しておきましょう。

やる気を引き出す表現として以下の3つを習得してみてください。

  • ポジティブな表現を心がける
  • お願いをする形で伝える
  • 緊張を和らげる言葉を使う

ポジティブな表現を心がける

部下にネガティブな感情を抱かせないように前向きな言葉をかけましょう。部下が目標を達成できなかったり、失敗したりしてもフォローすることが大切です。

以下のようにポジティブな表現を用いて部下に声をかけてあげましょう。

  • 「売上目標は達成できなかったけど、確実に営業スキルが身についている。この調子で頑張ってほしい。」
  • 「今回は仕事が早くて助かったよ。もう少し業務の質が上がるともっとよくなると思う。」

お願いをする形で伝える

「急に仕事が入ったからこれやって」のように一方的に仕事を押し付けるのはよくありません。部下が上司に不満を持つようになり、モチベーションが下がってしまいます。

もし部下に急に仕事を振る場合、お願いするような形で伝えましょう。

「急で申し訳ないんだけど、この業務をお願いしていい?」と伝えることで、部下が頼られていると感じ快く引き受けてくれるでしょう。

緊張を和らげる言葉を使う

客先へのプレゼンのような大事な場面で「失敗するなよ」と言うと、部下はプレッシャーを感じミスする可能性が高くなります。

「失敗するな」という言葉は相手に失敗のイメージを想像させてしまうため、不安を抱かせてしまうのです。

部下の不安を煽らないよう前向きな言葉を使って緊張を和らげましょう。

「成功してほしい」「納得のいくプレゼンをしてきてね」など、前向きな言葉に変換して伝えてください。

部下のやる気を損なうNG行動3選

以下の3つの言動は部下のやる気を大きく下げる原因になるため、絶対にしないように心がけましょう。

  • 人格を否定する
  • 価値観を押し付ける
  • 部下の目標達成のフォローをしない

人格を否定する

部下がどのような失敗をしたとしても部下の個性や人格を否定してはいけません。「お前だからできないんだ」「頭が悪すぎる」などの発言は部下が傷つきます。

人を傷つける発言はパワハラにつながるため、上司が減給や降格の処遇を受ける可能性もあります。

部下を叱る際は相手の人格について言及するのではなく、起きた事実について話しましょう。部下が同じミスをしないように改善点を踏まえて指導してください。

価値観を押し付ける

上司が部下に対して無意識に価値観を押し付けないよう注意しましょう。「部下なら上司に対して○○すべき」「なんでこれも知らないの?」などが価値観の押し付けに該当します。

もし部下が自身の考えを上司に伝えたとき、勝手に仕事の価値観を押し付けられると、部下は自信を持てなくなります。

部下との信頼関係も悪くなる可能性があるので、部下の考えを認めて承認欲求を満たしてあげましょう。

部下の目標達成のフォローをしない

部下が目標を達成できるようアドバイスやフィードバックをすることは上司の役割です。

もし部下が目標達成中につまづいた時、誰も手を差し伸べる人がいなかったら挫折するかもしれません。目標を達成できなかった結果、部下のモチベーション低下につながります。

部下の目標達成を促せるように、上司は定期的に1on1を実施して目標の進捗を確認するといいでしょう。

また、目標の進捗を効率良く管理できる手法としてOKRが有効です。OKRを活用することで組織の目標を共有でき、コミュニケーションを円滑にできます。

弊社では、OKRについてより詳しく知りたい方のために「日本企業のためのOKRの教科書」という資料を無料配布しています。

OKRを導入する際に必要な知識や実施手順を知ることができますので、ダウンロードして読んでみてください。

Googleも採用している目標管理フレームワーク「OKR」を取り入れる具体的な方法と日本企業が導入を成功させるためのヒントについて、国内170社にOKRを導入したResilyのコンサルタントが詳しくご紹介します。

部下のやる気を引き出して組織の生産性を向上させましょう

部下のやる気を引き出すためには、さまざまな施策を実行する必要があります。業務の目的を共有したり、動機付けをしたりして部下に仕事のやりがいを感じてもらいましょう。

小さな成功体験を作るだけでも部下の自信になるため、良い点があれば褒めることも大切です。

言葉選びも部下のモチベーションに大きく影響します。ネガティブな言葉を使うと部下が傷ついたり、やる気が下がったりする可能性があるので注意してください。

部下のモチベーションをうまく引き出して、組織全体の生産性が向上するよう取り組みましょう。

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