OKRでチームの関係性、思考、行動が変化した導入事例

 株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン

ゴルフ情報を発信するメディアやゴルフ場予約、ゴルフ用品の販売、ゴルフレッスンを行う株式会社ゴルフダイジェスト・オンライン様(以下:GDO)。新規事業の立ち上げに伴い、複数の部門で共通した目標に向かって取り組めるマネジメントツールを探していたところ、OKRを知り「Resily」を導入していただきました。マネジメント手法としてなぜOKRを選んだのか、その効果と社内で起きた変化について、お話を伺いました。

事前の課題

GDOでは、複数部門を横断した新規事業の展開を推進するにあたって、仮説検証を繰り返す組織学習とマネージャー個人の経験則のバランスが取れるマネジメントツールを探していました。

今回のOKRおよびResilyの導入により、過去に経験のない新規の取り組みに対して、あるべき姿と日々の検証実績の観点から目標達成に向けたチームマネジメントの確立を目指しました。

また、初のOKR導入のためメンバーの合意形成が重要でした。OKRというフレームワークへの理解や導入実績、さらにクラウドサービスの提供に加えて伴走支援を受けられることがResilyを選んだ決め手となりました。

導入効果

今回の導入により、以下の効果が生まれました。

従来のKPIや結果を重視する思考が変化しています。ウィンセッションを通じて結果に至るプロセスや、行動の起点となったメンバーの考えを共有することが定着し、チームでそれを承認して挑戦を称賛するようになりました。

現在では、もっと上手くやれる方法があるはずと高みを目指し、失敗から学ぶマネジメントが浸透しています。加えて、普段から「OKRで考えると」といった発言があり、制約ではなく発想を広げることがチームコミュニケーションの前提になっています。

さらに、ResilyのOKRマップによって目標を含めて「情報を可視化した方が良いよね」という考えが広がり、自律的に情報開示が促進されています。

インタビューにご協力いただいた方々

練習場ビジネスユニット長
佐藤昌巳 様

「Resily」導入の背景

練習場ビジネスユニットという、ゴルフ練習場にある様々なサービスを提供するという事業の責任者をしています。また、そちらに対して「トップトレーサー・レンジ」という新しく提供されたゴルフ練習場の弾道を計測する機械の導入と、それを継続的に使っていただくための支援をしていく事業の責任者をしています。

意思統一やマネジメントの仕方に課題を感じた

GDOは2000年に創業してもう23年目の会社なのですが、今回は10年くらい前にゴルフテックというサービスを立ち上げて以来の新規事業です。前回が10年前ということで、新規事業の立ち上げ経験が少ないメンバーで早急に事業の拡大を図っていました。

マネジメントの難しさとして、この事業は私の所属する部門だけでなく、営業部やマーケティング部など複数の部門が連携してチャレンジを達成しなければいけませんでした。具体的には、各部門で発揮しなければならない価値(バリュー)とか、部門なりの考え方(カルチャー)などの定着しているバックグラウンドがある中で、ひとつの事業目標のクリアを目指すことに関して、意思統一やマネジメントの仕方に課題を感じていました。

そこで、色々なバックグラウンドがあっても共通した目標に向かって取り組めるマネジメントツールを探していたところ、OKRという手法があることを知り、検討を経て導入に至りました。

「Resily」導入にあっての不安

まず、どのようなツール(OKR)だとしてもチーム共通で使う時に、マネジメントのツールという観点だけで言うと「何だっていいんじゃないの?」となりかねませんでした。どちらかというとツール云々というよりも、そのツールが持つ背景や力みたいなものを、どれだけみんなに浸透させられるのかという点が難しく感じました。

印象や雰囲気をガラリと変えていかなきゃいけない

また、経験値としてみんなが持っているものと違うことを成し遂げなきゃいけない時に、ただツールを入れるというよりも、印象や雰囲気をガラリと変えていかなきゃいけないという思いがある中で、OKRを受け入れてもらえるんだろうかとか、マネジメントレイヤーがちゃんと理解を深めて進められるんだろうかといった不安があったのを覚えています。

会社自体は、20年の歴史がありますが、ここまで短期的に一気に成長してきました。従来のマネジメントについては、成長要因としてポジティブに捉えて、PL(Profit Loss)マネジメントをしっかりと行い、数値をベースに成長してきました。

ただ、新規事業を取り組む際はどうしてもPLだけで引っ張ってくのは難しいと思いました。そもそもPL設計自体が正しいのか、という点についても非常に不安視していましたし、今までの経験では読み切れない環境だと思っていました。なので、「マネジメントとか事業運営ってこういう風にしなきゃいけないよね」っていう少し遠い姿を設定した上で、「だからこうなんだよ」みたいなコミュニケーションをしながら、どういう風にチームをマインドセットすれば良いかっていうのが苦労したポイントです。

これはマネジメント層も含めて、当然目先のPLの成果っていうのを求めがちなんですが、ただそれでは上手くいかなかったっていうのが2年間ぐらい続いた中で、「結局、数字でしょ」という思考が定着した状況を、今回OKRで根本的に発想から変えるっていうのが一番難しかったです。

先が見えない仕事、またはその間を埋めていくこの手法は大丈夫なのか

難しい表現になるんですが、人って自分の経験をベースに仕事をする方が成果が出ている感は得やすいですよね。なので経験が無いことに対するアウトプットに非常に不安というか、もっと違うやり方があるんじゃないかみたいな疑心暗鬼がポツリポツリと出てくる中で、それが如実に成果に表れてしまうというか、「ここまでこういう風にやろうよ」っていうチャレンジやアイデアに対して、「(成果数字に直結するか分からないので)それって本当にやる意味があるんですか?」という試行へのためらいっていうのがやはりあったんですよね。そこら辺をどのように解消するかが運用する上で難しかったかなと思っています。

情報管理ツールに関しても、今まで主に一般的な表計算ソフトとかデータベースソフトなどで、自分達の業務マネジメントを行っていました。これは経験がある事業で、施策と想定される予実といった先が見える実績に対して積み上げていってるデータの経営管理なら、そういったツールでも管理しやすかったんですよね。

Resilyを導入した当初は、先が見えない仕事、またはその間を埋めていく手法に対して、このツールで本当に大丈夫かという疑念がありました。OKRとして表現されている内容がゴールに近づいているのかは誰も経験をしていないので、実際には仮説や試行する施策が記載されてるだけです。このツールで本当にいけるのかなと非常に不安だったというのは、導入初期を振り返るとありますね。

「Resily」導入の効果

日々の練習や実践が上達には重要

まずOKR自体を導入する準備として、マネジメント層は全員OKRの本を読むようにしました(ResilyのCS担当者が推薦図書を紹介)。そもそもマネジメントをする人間がOKRって何か知らない状態でスタートするのは非常にリスクがあると思ったので導入前に勉強しました。

ただ、あくまでもOKRっていうのはマネジメントのツール、手段であって、メンバーに対しては事前学習は強要することなく、やりながら慣れながら習得していきました。ゴルフもどんなスポーツかという概念やルールを知っていることと、実際にプレーすることは大きな違いがあります。日々の練習や実践が上達には重要です。

情報をお互いに発表し合う中で考え方が前向きに

正直、最初の3ヶ月は手探りで、「本当にこのまま進んで大丈夫なのかな」っていうのは非常にありました。どうしても先が見えないというか、常に答えを出しながらそれが正解だったのか間違いだったのかっていう検証をしていく状態が続き、さらに「こういう風に上司に言われたので、これでやりました」みたいな姿勢や発言が続いてました。

しかし、ウィンセッションをやるようになったあたりから、どういうことを成果に感じたり、こういう風にやって上手くいったという情報をお互いに発表し合う中で、考え方が前向きになったり、「こういうことはダメだった」ということを新規事業の関係者に直接共有する機会が生まれたことが、正解のない仕事をする上で非常に良かったと思います。

何よりマネジメントレイヤー自体も勝利の方程式は分かってない中で、特にメンバーレイヤーが出してくる失敗事例だとか成功事例っていうのが、我々の方のマネジメントにも大きく影響してくるので、上から言われたことだけやっておけば良いんだっていう感じではなくて、お互いをそういう風に認識しながら事業を一緒に進めていけるチームに、関係性、思考、行動が変化したことは導入の成果だと思います。

OKRの運用について

「自分たちはどうしたいのか」を共有することが重要

組織を動かしていくっていうのはなかなか難しいですが、私たちはOKRの運用と事業計画でやらなきゃいけないことを、ある意味分けて考えています。OKRの運用というのは組織マネジメントツールであり、メンバーの育成ツールにも使えてると感じており、そこはOKRベースで運用しています。一方で目先でやらなきゃならないことをマネージャーレイヤーで切り分けて、「ここはこうやって進めるよ」ってタスクベースで計画実行しています。1から10までOKRだけで運用しようって固執しなかったことはポジティブに捉えています

結局、事業に答えは無いが、「自分たちはどうしたいのか」を共有することがOKRを入れた時に重要であると思います。先ほども言ったように経験値があるなしで、どうしても業務の取り組み方に大きな舵を切りがちだったっていうのは過去にありました。ただし、OKR的に捉えると、「しなければいけないことをどういう風に考えるんだっけ」みたいなことをベースにコミュニケーションできるようになったので、上層から下層へとか経験がある人の意見が強く採用されるってことは無くなってきました。

「OKRで考えるとこういう風な考え方でいいよね」とか、「そのやり方は今やってるものとずれるからOKR的に考え直してみよう」みたいな会話がベースになっていきました。これはOKRの良し悪しというよりも、コミュニケーションの取り方の視点のベースが高次になったという、非常に大きな変化だと実感しています。

プロセスに対する結果を見られるようになった

その要因として「ウィンセッション」が一番大きいと思っています。以前から、上げた成果に対する評価は、是でも非でもマネジメント層は出来ていました。一方で、プロセスだとか、良くなかったこと(失敗など)に対しては、どちらかというと蓋をする仕事をしていました。正しくは、組織として経験した「上げた成果に対する評価」以外を、どう扱うかの解を会社として持っていなかったということかもしれません。

今回OKRを導入してウィンセッションをした時に、「このメンバーはこういうことを喜んでたんだ」とか、「このメンバーはこういうことを努力してたんだ」ってことを認識し合うことが出来ました。結果だけよりも、そのプロセスをウィンセッションで発表し合うことによって、「そのメンバーがどういう背景でその結論に至ったのか」っていう、プロセスに対する結果を見られる(文脈を評価できる)ようになりました。OKRの運用を通じて、プロセスを理解すること、つまり承認することに、すごく価値を見出すことができたと思っています。

「Resily」導入による変化

運用していく中で、「OKRは可視化していく方が良い」と考える組織の変化が良かったと思ってます。導入前では、「今のままだと成果が出づらい」っていう話が現場から出てきたことがなく、AプランがダメならBプランっていう予め決めたことだけをこなしていたんです。それが「今のままだとまずい」「やり方変えた方がいい」「OKRの内容見直そう」といった会話になってきました。そして、「このままじゃまずいから全体にも可視化しよう」とメンバー自体のマインドが変わっていったことが良かったです。

先ほどもちょっと話したんですが、全部が全部OKRで事業を運用しようなんていうのはおこがましい話だと思うんです。ただ上長が正解を提供し続けるとか、アクション量でカバーし続ける事業や施策じゃない戦略を考えている時には、OKRを用いた新しい発想とかマネジメントが必要になると思います。加えて、私たちはPL管理や事業運営を進めていく上で、外しちゃいけない業務を、ちゃんとバランスよく見ることができたというのが大事かなと思ってます。

要はOKRの進捗状況に関して、事業運営(経営管理)の視点から「もっと早められないか」って当然必要になってくると思うんですけど、それがOKRを否定することなくそういう会話ができたのが非常に価値あるノウハウだと認識しています。

「Resily」活用の展望

OKRがあれば新しい領域を見れる

OKRと事業運営のハイブリッドについて話したんですが、これって事業がコモディティ化していけばOKRである必要ってのはそんなにないと思ってます。ただ、コモディティ化していった時の「新しいチャレンジ」とかって、コモディティ化すればするほど自分の成功体験で事業をうまく進められるため、新しい取り組みへの考え方が疎かになりがちだと思うんです。

そうなった時に、コモディティの中でのOKRの使い方と、事業全体の中のOKRの伸びしろ、チャレンジという風に分けて目標があった場合、これは自分たちの経験値で運用できるか(ルーフショット)、あるいはまだ伸びしろがあるのか見直そう(ムーンショット)っていう視点で考えたり、この領域はまだ違うことができるからこっちはOKRで引き続き運用していこう、みたいなツールとしての使い方が上手くできたらいいかなと考えています。

「(今の事業で)こういう風にやっていくと上手くいくよね」っていうのが見えてきた一方で、「この事業に新しいサービスを組み込もう」ってなった時というのは、また新しいチャレンジになるんですよね。こうなった時にまた正解がなくなるわけですから、自分の経験値を頼って元の領域ややり方に戻りがちになると思うんです。そうすると新しいことに対してアイデアが出てこなかったり、ないがしろになってしまうと思うんですが、OKRがあれば新しい領域をちゃんと見ていくことが十分できるでしょう。

導入を検討している企業へ

OKRツールで何にフォーカスするのかを経営の意思として出す

自分の経験を活かしてマネジメントをする人たちっていうのは非常に多いと思うんですが、OKR的なバックグラウンドがない人に関しては、OKRを使うことによって、恐らくそのマネジメントの幅が広がると思います。

ただ一方で気をつけないといけないことは、OKRさえ書いておけばマネジメントが全てうまくいくと思ってしまうと、「いくらやっても成果が上がらない」とか「事業目標を達成できない」っていう結果になってしまうと思います。目標と実績のバランスを取るっていうことを意識しておくとうまく使うことができると思います。

また、OKRを使ってマネジメントする時は、過去のマネージャー自身や組織の成功体験、経験値が強ければ強いほど一回ポケットに仕舞っておいてもらって、「OKRという運用でやるにはどうしたら良いのか」を一生懸命に考える。そして、OKRの運用が良くなってきたり悪くなった時に、スパイス的に自分の経験を小出しにして、どうやってメンバーをモチベートできるのか、OKRの運用に自分の経験を活かせるのかを考えるのが一つミソになります。

新しく事業をしなきゃいけないとか、正解が見えてないとか、状況が目まぐるしく変わるようなところにおいて、こういったOKRツールで何にフォーカスするのかを経営の意思として出すのは非常に良いんじゃないかなと実感しています。それを実現するためにはどうやってやるのか、コミュニケーションをマネージャー側が作り上げて、アイデアを上位層と練り上げるツールとしてすごくはまるんじゃないかなと思っています。

一方でコモディティ化してる企業やサービスは新しいものを入れた際、バランスが悪くなってしまう可能性があると考えられます。そこで、ここはOKRでやってみようとか、コモディティ化してるところから切り離して行うツールとしては非常に分かりやすいため試してみる価値があるでしょう。

OKRを使うことによって、事業を包括的に見つつも、ちゃんとフォーカスすることもできるので、バランスよくやらなきゃいけないことに挑戦できるんじゃないかと思います。

逆にそこに十分なリソースを投下してくれない時は、これだけのことをやりたかったらこういうことが必要だとOKRツリーを見せれば、経営に対する上申アプローチとしても良いんじゃないかなと思います。経営側も不透明な取り組みにリソースをアサインすることなく、コミットがクリアなメンバーに対して気持ちよく意思決定できるはずです。

OKRを1つのツールに
まとめて運用しましょう

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