部門横断で事業課題を改善するチェンジマネジメント導入事例

 株式会社GSTV

GSTV様GSTV様

日本で唯一の宝石専門チャンネルの「GSTV」を運営し、世界各地から独自のルートで直接宝石を買い付け、デザイン、製造、販売を行う株式会社GSTV様。
今回は、先行してOKRを導入した部門に続いて、OKRの導入を行ったミドルマネージャーの視点から、OKRの導入〜効果を実感するまでのチェンジマネジメントについてお話を伺いました。

事前の課題

  • 事業全体に影響する課題を解決するための施策への取り組み方が無かった
  • 部門別にという組織の壁が存在した
  • 各社員が自分自身のタスクの範疇を超えて、業務改善を考える機会が無かった
  • 組織を動かすという役割のツールが無かった

導入効果

  • 目標を設定して部門関係なくメンバーをアサインできるようになった
  • 一人ひとりが自発的に行動する風土が醸成された
  • OKRの進捗のために相互に助け合う、担当者や担当リーダーを全体でサポートするという思考が定着してきた
  • 次世代のリーダー育成やチャレンジする機会としてOKRを活用するようになった

インタビューにご協力いただいた方々

生産管理部シニアマネージャー兼物流課マネージャー 
荒川伸彦 様(写真右)

生産管理部シニアマネージャー兼品質管理課マネージャー
髙島あやめ 様(写真左)

OKRおよびResily導入の背景

はじめに会社や皆さんの組織について教えてください

荒川様:会社全体の社員数は約220名です。全体でシニアマネージャーが6名おり、事業の執行をマネジメントしています。

私たちは、生産管理部に所属しており、物流部門はテレビショッピングの商品の流通を支える役割を担っています。品質管理部門は、量産発注の仕入れや検品、顧客から依頼される修理受付、そして工房での製品作成や修理、量産に付随する納期管理や工場コントロールを行っています。

生産管理部には35名ほどが所属しています。私の担当する物流においては13名、髙島の担当する品質管理が22名ほどです。そして、物流と品質管理それぞれ4チームずつで組織構成されています。一つのチームは3〜4名で編成しています。

OKRはチームごとに設定されているのでしょうか?

髙島様:いえ、チームごとではありません。私の担当する品質管理では3つのOKRを運用しています。荒川の物流では、OKRは2つです。定常業務に対して、部門横断で取り組むプロジェクト的な施策についてOKRを用いてマネジメントする使い方をしたりと、実務との兼ね合いやバランスを考慮してOKRを運用しています。

それでは、現在に至るまでのお話を伺えればと思います。導入当時のことを教えて頂けますか?

荒川様:弊社では、先行してOKRの導入を行ったテレビ編成や企画部門と、その後に導入した部門と段階を追ってOKR導入を実施しました。全体の導入に至るまで一年以上の時間をかけています。私たち生産管理部は、先行導入した部門から一年ほど経過したタイミングで、OKR導入のアナウンスを受けて準備を始めました。

振り返ると、OKRで対応した課題として以前から在庫や返品といった議論ありました。端的には、在庫の可視化や部門横断的に取り組むための横串の連携といったイメージです。実際に課題解決に取り組むとなった時に、複数の部門にまたがる問題であるため、何をどう共有して解決にあたるかの実行イメージが持ちにくい状態でした。例えば、課題に対する部門ごとの捉え方、もっと言うと文化の違いなどという、いわゆる組織の壁みたいなものが全社的な課題への取り組みにくさにつながっていたように思います。それぞれの持場で何とかするというマネジメントのイメージで会社が回っている感じです。

OKRを導入することで、実際の組織関係なく「コト」に向き合えそうと感じたことでOKRの活用に取り組み始めました。OKRによって、組織関係なく関係者をアサインして課題解決に取り組むことができました。

導入時の不安などはありましたか、クラウドツールResilyの導入はいかがでしたか?

荒川様:OKRの導入をどう進めれば良いのか、さらに自分以上にOKRを知らないメンバーにどう根付かせるかは課題でした。それぞれ固定観念や先入観があるはずなので、その解消をどうするかという点に気を使いました。幸い、先行して導入している組織があったり、同じタイミングで導入した髙島の組織があったため、どう進めているのかを聞きに行ったり、他のチームのミーティングに参加することで、学習したり視野を広げたりする機会を自らつくりました。

印象的だったこととして、従来トップダウン的にものごとを決めてきたことに対して、いかにスタッフに自発的に動いてもらうかという点です。 特に最近は、そういったマネジメントが機能し始めたという印象があります。

ツールについては、業務を進めるための運用ツールなどは色々と使えるのですが、組織を動かすという意味でのマネジメント視点のツールはResilyが初めてでした。どんなツールも最初はそうですが、使い方や機能の理解など当初は戸惑ったことを覚えています。実際にResilyの使い方自体は、説明を受けずに自分たちで触りながら覚えていきました。こうすると進捗がアップするなど、色々とできることを面白がりながら操作していました。

髙島さんの組織での導入はいかがでしたでしょうか?

髙島様:目標管理という観点では、チームや課全体で取り組むような目標設定を行っていなかったため、振り返るとワンチームとして動きにくかったという課題がありました。マネージャーの役割という意味でも、マネジメント方法としてOKRの使い方を先行する部門などに習いながら導入を進めていきました。

ワンチームとしてOKRを活用された事例をご紹介いただけますか?

髙島様:品質標準化を目的に、品質指標の策定をOKRによって進めました。品質管理において、全体マニュアルはあったのですが指標はありませんでした。元々、天然石などの品質判断というのは職人系の内容と認識され、感覚値で行われることが多い領域でした。そのため、CS(カスタマーサポート)や販売、工場など検品に関わるスタッフが同じ目線で指標を持ち、数値化されていた方が品質管理の観点からも標準化と効率化が図れるというプロジェクトでした。

OKRを設定し、石の色幅、照り、キズケ*などの指標を一年ほどかけて作成し、各関連部署へ配布しました。作成後は、基準にそって認識が合うことで返品率の減少や、石出しや検品の効率化と期待する成果に繋がっていきました。

* キズケ(インクルージョン):天然石に元々ある傷のこと。

導入にあたっての困難をどう乗り越えるか

OKRという新しいマネジメントに変わる過程での困難はありましたか?

荒川様:従来の実務への認識とOKRの進め方のギャップを埋めることが重要だったと思います。従来の仕事の進め方が、本当にトップダウンでした。つまり、スタッフみんなに指示を出して、できていないところはリーダー自身がやるというマネジメントでした。それを引きずった所が、導入時にはありました。これが進め方のギャップです。

OKRを導入すると、ObjectiveとKey Resultsそれぞれにリーダーがアサインされます。そしてOKRに関連するスタッフとでチームが編成されます。リーダーとスタッフとで、どう動いてもらうと良いのか、もしくはどういうことをやりたいか、という事が話し合われていきます。

仕事の進め方が指示をする、指示に従うというやり方から変わり自発性が求められるため、そのギャップに対してスタッフも、自分はどう動くべきなのかと戸惑ったと思います。その結果、進捗が進んでいない時などOKRのリーダーに負荷のしわ寄せがいきました。

それに対して、リーダーもスタッフも一緒になって取り組む、Key Resultsのリーダーの手が回らないところをスタッフが自発的に補う、Objectiveのリーダーが自発的に支援する。さらには他のチームも補っていくという考え方が、ずいぶん浸透したように感じます。

振り返って、こうすると良かったという点はありますか?

荒川様:チーム編成、メンバー選定の観点でいうと、OKRが実務に関連しているため、スタッフが同じメンバーに偏りがちという点は考慮すべきだと思います。定常業務がある中で、一部のスタッフにOKRの負荷が寄ってしまうことを避けられた良かったと思います。また、他のスタッフにもスポットライトが当たる選定ができれば、負荷の平準化など違った運用にもなったかと感じています。

また、マネージャーとスタッフとの違いとして、弊社ではマネージャーの研修が充実していることもあり、OKRの導入に際しても、新しい施策の取り入れ方の勘所があるという点で、「こうすれば良さそう」と抵抗感などが低かったという点もスタッフの印象と違ったのではと思います。

髙島様:私たちも導入当初にOKRのチーム編成という点で、近いことが起こりました。Key Resultsの内容に合わせてメンバー選定するのですが、OKRのチーム外のスタッフも居ることになります。

その結果、「目の前の仕事があるのに、なぜ違う業務(OKR)に時間を割くのか?」という不満が出てきました。OKRに関わるスタッフは、OKRの理解が深まりますが、そうでないと理解度に差が生じます。業務の優先度などのズレが出てきますので、OKRという仕組み自体の学習やOKRとして設定した意義の理解などをOKRチーム外のスタッフにフォローできると良かったと思います。

髙島さんの視点から、どのような導入のハードルがありましたか?

髙島様:当初、積極的な参加が得られませんでした。導入当初というのは、私たち自身にもOKRの知識が多くある訳ではないため、まずはObjectiveを決めてというところから始めて、それに合う人たちは誰かとリーダーを決めてという進め方をしました。みんなで考えてもらうというより、一部の人だけでOKRの内容を決めてという始まりでした。

最初からみんなで入っていたら変わっていたかもしれないのですが、「なぜこれをやらなきゃいけないのか?」というスタッフの普段の実務と中期的な視点のOKRに距離があったことで、最終的に自分たちが楽になる内容だって分かっていても、なかなか協力を得られませんでした。OKRのミーティングにも、他に優先することがあるのでと参加してもらえない経験をしました。

OKRへの参加意識が変化したきっかけ等はあったのでしょうか?

髙島様:OKRへの取り組みが進み、自分たちが最終的に楽になる部分が少しずつ見えてきて、他のチームに対して「こういう取り組みをやったよ」と成果が見せられるようになってきた辺りで、みんなの意識の変化を感じました。販売や営業というのは、数字とかがあるため分かりやすいですが、私たちには無いため、成果として見せられるものが出来てくるというのは意識を変えるために大きな違いがありました。

マネジメントとしてOKRを始めた頃の戸惑いなどはありましたか?

髙島様:Key Resultsに対しての取り組み方やMTGの進め方が、今までとは違った手法だったため戸惑いがありました。従来の目の前にある業務に対する進め方というはありました。

しかし、OKRを始めると、あえて大きな括りで最終的に自分たちが良い方向に向かっていくという方針については漠然とした感じだった事と向き合うことになります。さらに、マイルストーンとしてKey Resultsを考えることに苦労しました。やはり、どこにポイントを持って進めていけばたどり着くのかという方針を、みんなが考えるっていうこと自体が難しい気がします。何をやったら最終的にそこにたどり着くっていうのを考えること自体が組織の経験として無いため、始めた当初は時間を要すると思います。

ミーティングなどOKRに即した運営に変化はありましたか?

髙島様:ミーティングについては、導入初期においては「この日に全体でOKRのミーティングあります」とアナウンスして、それしか参加がありませんでした。それが、各チーム単位でミーティングが実施されたり、少人数で集まっていたり、やっているなというのがいつの間にか増えてきた印象です。

OKRは、自分のチームだけじゃなくて他部署のスタッフとも働いているため、コミュニケーションツールとしてもすごく活用できていると思います。

新しいミーティングとしては、特に互いを褒め合う文化が無かったため、ウィンセッションが気恥ずかしかったです。四半期に一度、それまでの成果などを振り返るタイミングで実施しています。ただ、やっぱり皆さんそういうのが苦手な部分があるので、私がファシリテーターとなって「今日はもうその会議しますよ」っていうような決めにして、そこでみんなで思いつく内容、承認するべき気づいたところを言っていくっていう感じにしています。

荒川さんは、ウィンセッションをどのように運営されているのでしょうか?

荒川様:そうですね。私たちも四半期に一度、ウィンセッションを開催しています。私も含め各Objectiveのリーダーを中心に、Key Resultsの各スタッフと、出席者みんなに発言してもらう感じです。

最近みんなも慣れてきて、その日に参加できない人でもウィンセッションに対するコメントが届く流れにも変わってきています。出席できないんだけれども「誰々さんのこれが良かったです」、「こういう進め方が良かったです」というコメントです。そういう変化が結構出てくるようになり、ウィンセッションをやっていて良かったなって実感しています。 やはり人って褒められと素直に嬉しいので、お互いの良い取り組みを承認するコミュニケーション機会がチームビルドに役立っているのかなと実感しています。

OKR導入の効果

荒川様:Objectiveのリーダーを他の人に任せる様になり俯瞰して見える様になったことは大きいです。
導入当初は、もう自分で何とかやらなきゃいけない、何とか実務に結びつけて結果を残していかなきゃいけないという意識でOKRに取り組んでいました。そのため、私自身も困ったり苦労した点がありました。それをObjectiveのリーダーを任せて、チームの運営も任せるように変えました。私の経験も踏まえて、リーダーに助言する立ち位置になったことで、俯瞰して見られる関係になっています。

また、今年度に入り感じる事として、普段から各所でKey Resultsの内容を意識付けて行動する様になってきています。私がマネジメントしているチームでは、OKRに実務を反映するようにしたいと考えています。Key Resultsのリーダーには、実務でのリーダーがアサインされているため、そこから乖離しないことで、実務とOKRの関係などの理解がしやすくなると思います。Key Resultsを達成するためには具体的な話として実務が伴うため、その観点からも理解しやすくなってきていることを実感しています。普段の実務に対して、近い共通言語で落とし込むという点が表現のポイントだと思います。

効果を実感されるまで、どの程度の時間が必要でしたか?

荒川様:一年近くはかかったと思います。最初にOKRをやると決まった時、私たちマネージャー自身が、実務に加えてOKRの負担という両方を抱えなきゃいけないと必死だった部分があります。先ほども話したように、なかなかスタッフの参加率も低かったり、そもそもなぜ参加しなきゃいけないのかと抵抗感もありました。さらに、なかなかOKRの成果が見えてこない、見えづらかったという状況が半年から一年という印象です。

それが、成果が見えるようになってきて、先を考える未来志向で考えなきゃならないというスタッフの考え方が変わり始めて、色々なことが変わり始めた、みんなも実感が湧いてきたという印象を受けるようになりました。

髙島さんが導入効果を感じられたエピソードを教えて頂けますか?

髙島様:各リーダーが自分達で率先してまとめていこうという動きが生まれました。荒川と同じタイミングで、Objectiveのリーダーを私から代えました。そして、あまり口を出さずに見守る姿勢にマネジメントを変えました。そこから、自分たちでやらなきゃという変化がでてきました。

マネジメントを変えた背景には、次世代のリーダーを育てていくという狙いがあります。一年OKRをやってきて二年目のタイミングでリーダーを他の人に代えました。私たちがOKRのリーダーを担い続けるのではなく、リーダーを経験してもらう機会としてもOKRを活用できると考えています。

効果を実感されるまで、どの程度の時間が必要でしたか?

髙島様:効果を実感するまでに半年以上はかかったと思います。導入前は、都度みんな目の前にある業務に向き合っていたので、横の繋がりを持つという意識が希薄でした。そのため、お互いの業務内容や何に困っていて、どう協力しあえば効率化に繋がるかなど、コミュニケーションを図るということに時間がかかったように感じます。

具体的には、OKRで成果がでると、結果として目の前の業務が効率化されるという理解です。また、OKRの場合、自分だけでは完結しない目標となるため、自分の役割や自分の業務に集中していた状況から、シェアして横も見てもらえるようになるまでに時間を要しました。

クラウドツール「Resily」の導入はいかがでしたか?

荒川様:Resilyだけでは表現しきれない事や、また人によって更新が早い人と遅い人で分かれる点など、使い方やOKR運用の起点として活用しています。

例えば、Resilyの画面を経由して他の業務ツールへ移ったり、色々な資料をアップロードして共有したりという使い方をしています。表現しきれないところを口頭で補足したり、更新状況を見て担当者をフォローしたりと、そういった運用をしています。

髙島様:自部門だけでなく、進捗率や対応している内容が見えることにより刺激になっています。多い時で週に1〜2回はアクセスしています。月次でOKRの推進ミーティングが開催されていて、ミーティングの前には一通り関係するOKRを確認しています。

OKR導入による会社の変化

視点を会社全体に変えて伺います。会社としての変化はありましたか?

荒川様:会社全体のOKRは、会社組織図に似ている構造でツリーが形成されています。組織全体のなかで役割や実務に準じてOKRを作成して運用しています。

全体で可視化されていることで、共通するテーマに気づくことができるなど、組織の中で課題など考えていることが分かったりします。弊社ではOKRを始めた頃は、OKRとそのチームも今より多くありました。年々それが淘汰され、本当に必要なOKRやチームが残るようになってきました。そうすると本質的に重要な内容に絞り込まれるため、例えば返品率といった共通点に気がつけるようになりました。そうすると、取り組みが全然違ってきます。

私たちのOKRでの返品率を下げたいというテーマと、販売部門のOKRにおいても返品率をここまで下げたいなど、部門の感覚値に寄っていた部分が共通テーマになるという、結果として目標値も近い値を目指していることが分かるという事があります。

髙島様:OKR導入によって部門問わずチーム編成を行うことにより、社内全体のコミュケーションが図れるようになりました。以前は、課の中でもチームに分かれているため、チームのことに意識や関心が集中していました。

それがOKRによって他部署との横のつながりができ、業務的に重なることが見えて、「これはいらないんじゃないか」、「こっちで引き受ける」といったお互いの業務認識が深まりました。そのことにより、何か問題が発生した際に「出来ない!無理!」ではなく、どのようにしたら対応できるかを考えるようになったと思います。

荒川様:OKRの場は現実の組織や役割に拘らない組織作りとしての疑似体験でもあると思います。もし、現実の組織で実現したいことなどあって、躊躇している人はOKRチームの運営とかから始めてみるのも良い選択ではないでしょうか。

私も髙島もそうですが、最近のOKRメンバーの選定の仕方として、チームリーダに向いているんじゃないかという方にお願いしています。実際の会社の組織を任せる擬似的な経験が積める場になっており、次世代のリーダーを育成する活用もできると考えています。

リーダー育成への活用について教えて頂けますか?

荒川様:OKRは、何度でもトライ&エラーが可能で、ムーンショットを考えるなど大胆に発想していい場所です。そういう考えや発想が持てないと面白くありません。仮に実務と距離があっても、アイデアを持つことは許容され、結果的にOKRの成果が実務に生かされることもありえます。

「こうだったらもっと良いのに」という気づきや発想が共有できる場所とも言えます。事業メリットがある、チームや組織として上手く回っていくと判断できれば、私たちが会社に対して提案していくことで、アイデアを考えた社員の成功体験にもつながり、OKRがその社員の実務として機能すれば追加負担ではなくなるはずです。

髙島様:マネージャーの立場においてOKRの重要な点として、「チャレンジに対して見守る!失敗しないことには成功は成し遂げられない」という考えが大切だと思います。

納期短縮を目指すOKRに取り組んでいた時、結果として途中でフェードアウトしてしまったエピソードがあります。各商品に対しての納期短縮の難易度を出すという取り組みがありました。関連する部門の協力を得ながら難易度を確認していったのですが、苦労して取り組んだのにもかかわらず目指すところまでの達成が難しかった。チームスタッフの捉え方は、それぞれだと思いますが、「やったことと成果は出ている」という点が重要です。

OKRの導入によって、やってみないと分からないことにチャレンジする事自体が創出され、アイデアを出す機会が生まれました。そういったチームやそのリーダーにとって経験学習という活用ができると思います。

ミドルマネージャーの立場から仕事のしやすさといった観点ではいかがでしょうか?

髙島様:OKR推進ミーティングが毎月あり、その場には役員3名を始め、各マネージャーが参加しています。OKR推進ミーティングでは、OKRに限定せずに議論が行われています。それまで役員の方たちとミーティングする機会というのは少なかったため、「こういうことを考えているんだな」という情報が得やすくなったという意味では違いを感じています。

今後の展望について

荒川様:OKRについて、実務と乖離しない運用をしていきたいという考えがベースにあります。その上で、下記の3つのテーマに取り組んでいきたいです。

  1. 各チーム力とチーム間の連携を深める仕掛けづくりを行っていきたい。
  2. 次世代の人がリーダーとして運営するチーム作りの種まきを行っていきたい。
  3. 2023年度のOKRチームを絞り込んでより深掘りしていける内容にしていきたい。

将来を見据えて、人材育成を含めた組織づくりをしていかなければならない。その意味で、チーム運営、組織運営を擬似体験的に行えるOKRの活用ができればと考えています。その経験を積んだスタッフが、人材育成をしていく、マネジメントしていく、そういう経験値を上げられる仕組みにつなげていきたいと思います。そのためにも、来期においてはOKRごと共通項や質を重視して集約させることで、チームを再編するなど精度を高めた運用を図りたいと考えています。

髙島様:リーダーになり得るスタッフの育成につなげていきたいと考えています。リーダーとして活躍してもらうためには、チームをまとめていくコミュニケーションを図れることが前提になると思います。いくら特定の業務ができてもコミュニケーションが取れないと会社としては成り立ちません。OKRを介して他部署と連携したり、巻き込んだりと目標に向かって関係者みんなでやっていく、そういった動きができるようリーダー候補に機会を与え、経験を積ませる、そういった人材育成につなげていきたいと考えています。

導入を検討している方へ

どのような会社にチャレンジして欲しいと思いますか?

荒川様:比較的新しい会社でマネジメント方法など運用をあまり決めずに成長してきた会社で、今後は会社の運用をどうするか、ルール整備などを考えなければいけないと検討している企業にとってOKRは合致するのではないかと思います。

大きい組織でも見直しが必要だと思っている会社で、何か打ち手がないかと探していたら、OKRを試行してみることをオススメします。上手く行かなかったとしても組織としての経験になると思います。また、若手の成長の場を設けたい企業にも有用です。さらに企業の中の特定の部署単体でもOKRは導入、活用できると思います。

髙島様:製造業がメインの企業にチャレンジして頂きたいと思います。私自身が元々は職人だったこともあるのですが、製造している会社ですと、どうしても手に職を持つという感覚が強くなって、周囲と関係なく自分ができれば良いといった発想や、業務を教えるという場面でも見て盗めという姿勢の方がいたりするものです。

OKRを取り入れることで、職人気質が集まった際のコミュニケーションや業務の見える化ができるのでお勧めいたします。このツールを導入したことで、他部署がどういうことを目指しているのか、目指すに当たって必要なことなど、分からなかったことが知れるようになりました。それは、素直に良い驚きだったのでインパクトがありました。

OKRに取り組み始めたマネージャーへ助言するとしたらいかがでしょうか?

荒川様:私自身もそうでしたが、マネージャーという立場は、最初に取り組んだ時は相談相手がいなかったり、どうすれば良いか難しい状況でも成果を出さなければいけないと悩んだり、抱え込みがちなのではないかと思います。

ぜひ、そうならずに、一人で悩まず、また抱え込まずにKey Resultsのリーダーやスタッフを頼るところから始めてください。そういう動きができる方が今後は求められるのではないかと感じています。そして、「何をしたいのか」という目的を常に共有出来るようにしてください。

また、苦手意識はあるかもしれませんが、ここから始まるコミュニケーションがあったりするため、定期的なウィンセッションは強くお勧めします。

髙島様:端的には、3つのポイントがあると思います。

  1. 一人一人の意見を尊重し、否定をせずにトライさせる。
  2. 何のために必要なのか、皆で考え共有を行う。
  3. ワンチームとして行動をする。

特に、マネージャーという立ち位置で、チームをまとめていかなければいけません。OKRは結果として目指していることは一緒なのに、みんなのこだわりが強かったり、個々が強く主張しがちだったりという状況になることがあります。主張をとりまとめ、結果とアプローチの違いを整理したり、目的に応じて折り合いをつけたりとワンチームで行動する意識でマネジメントすることを心掛けて頂ければと思います。

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