人事評価が低いと社員が辞める?評価に対する不満の原因と解決策を紹介BLOG

 2022.7.25

人事評価の結果は社員のモチベーションに大きく影響します。人事評価が社員自身の想定より低い場合には、低い理由を明確に示すことが必要です。適切に説明できないと最悪の場合、社員の退職につながる可能性があります。

この記事では人事評価の低い社員が辞めてしまう理由や、社員が人事評価に納得感を持ってもらう方法について紹介します。人事評価での不満を解消し、社員と会社の双方が満足できる人事評価を目指しましょう。

転職理由の上位3位は「人事評価」との関係あり

パーソルキャリア株式会社が運営する転職サービス「doda(デューダ)」の転職理由調査を元に転職理由について紹介します。以下は上位3位の結果です。

順位割合転職理由
1位35.0%給料が低い・昇給が見込めない
2位29.4%昇進・キャリアアップが望めない
3位26.8%会社の評価方法に不満があった

転職理由の上位3位が「評価」や「昇給」など、人事評価と多く関連していることが分かります。評価に基づく給与体系の構築や評価方法の明確化を意識しましょう。

人事評価の低い社員が辞める3つの理由

社員の退職には複数の要因があると考えられますが、今回は人事評価の低い社員が辞める理由について紹介します。

  • 人事評価に納得がいかない
  • 労力に見合う給与・報酬がもらえない
  • 仕事へのモチベーションが上がらない

自分の想定よりも人事評価が低く、評価に納得できなければ会社に対しての不満が溜まります。不満から社員の退職を防ぐために、理由を把握して対策できるようにしましょう。

人事評価に納得がいかない

人事評価が自分の想定より低く、内容に納得ができない状態が続くと退職の可能性が高まります。以下のような不満が出ていないか自社でも確認しましょう。

  • 評価基準が明確でない
  • 評価者によって評価の付け方に差がある

評価基準は定性的なものではなく、客観的に判断のしやすい定量的なものにしましょう。同じくらいの業務成果を上げているのに評価者によって評価が異なる、というケースも注意する必要があります。評価には私情を挟まず、客観的に誰が見ても納得できるような基準を意識しましょう。

労力に見合う給与・報酬がもらえない

人事評価が低いことで「労力に見合う給与・報酬がもらえない」状態が続き、退職につながることがあります。このまま続けても給与が上がらないとなると、転職を考えるのも無理はないでしょう。

会社で働く理由は給料だけではありませんが、継続して働く理由には大きく関わってきます。正当な評価がされると感じれば、社員の業務へのやる気にもつながるでしょう。

仕事へのモチベーションが上がらない

人事評価の低い社員が辞めてしまう理由には「仕事へのモチベーションが上がらない」ことも挙げられます。人事評価が高くやる気が維持できれば良いですが、人事評価が低くかつ現状の業務に対して以下のような不満があると、モチベーションを保つのは難しいでしょう。

  • 業務量が他の社員に比べて多いと感じる
  • 負担の大きい業務をしている
  • 残業する日が続いている

人事評価が低いことは企業側の問題ではありませんが、業務体制を整えることは企業側の役割です。業務量をチーム内で適切に振分け、業務の負担を均一化できるようにしましょう。

社員の納得感を得られる人事評価の方法

社員の退職を減らすためには人事評価の不満を解消し、納得感の得られる人事評価をすることが重要です。今回は以下4つの方法を紹介します。

  • 定期的な面談の機会を増やす
  • 評価基準を一致させておく
  • 評価者に対する研修を実施する
  • 人事評価制度の見直しをする

人事評価は評価者側の主観による評価をしがちです。評価基準をあらかじめ決めておくことや評価者への研修を実施することで、被評価者からの評価に対する不満を減らせます。

定期的な面談の機会を増やす

人事評価の納得感を得る方法として、定期的な面談の機会を設けることがオススメです。信頼関係ができていない状態で評価されると「これは本当に適切な評価なのだろうか」と不安に感じる人もいるでしょう。

日頃のコミュニケーションや1on1の中で、業務進捗の確認や悩みの解消、フィードバックをすることで信頼関係を構築できます。人事評価時にも評価者が「自分の業務を把握している状態」だと評価に納得感が持てるでしょう。評価者側からしても業務を把握できるため、適切な評価をつけやすくなります。

評価基準を一致させておく

人事評価に対する不満の中には「評価基準が明確でないこと」が挙げられます。納得感のある人事評価は評価者と被評価者での「評価基準を一致させること」が重要です。

評価基準が明確でない場合「評価者の期待する水準」と「被評価者の想定している水準」に違いが生じます。このギャップが不満を生む原因です。目標設定時には被評価者に評価基準の作成を任せるのではなく、評価者も一緒になって作成しましょう。待遇面に関しても、あらかじめ重視している評価項目を伝えることで不満を生みにくくなります。

評価者に対する研修を実施する

人事評価には評価者のスキルアップが欠かせません。不満の原因のひとつに「評価者による評価のばらつき」が挙げられます。部下との関係の良さに私情を挟まない評価はもちろん、どの社員に対しても公平な評価が求められます。

評価者に対しての社内研修や外部講師を招いての研修など、前向きに検討するとよいでしょう。評価者のスキルアップが人事評価への納得感につながります。

人事評価制度の見直しをする

社員から人事評価への不満が多い場合、一度評価制度自体を見直す必要があるかもしれません。マニュアルや規程から見直しをかけ、評価基準や評価方法をアップデートしましょう。

人事評価制度を見直すとき、次のようなフレームワークを活用するのも有効な手段となります。

  • OKR
  • MBO
  • 360度評価

それぞれの特徴を理解して、自社に合うフレームワークを検討するのもよいでしょう。また、人事評価の効率化のために人事評価システムを導入するのもオススメです。以下の記事で人事評価システムの選び方やオススメについて紹介しています。

【2022年版】おすすめの人事評価システムを徹底比較!

OKR

OKRは「Objectives and Key Results」の略で、会社の目標と個人の目標を連動させた人事評価制度のフレームワークです。Objectiveが組織全体で設定した定性的な目標を意味し、Key ResultsがObjectiveを達成するための数値化された行動指標を意味します。

会社の目標と個人の目標が連動されていることにより、評価者側も社員を評価しやすいです。被評価者側からしても、会社への貢献度や成果を感じやすいというメリットがあります。

OKRとは?【Google採用の目標管理手法】意味、導入事例、KPIやMBOとの違いを解説

MBO

MBOは「Management by Objectives」の略で、目標によって組織を管理する制度です。ピーター・ドラッカーによって提唱されたマネジメント手法であり、企業が目指す目標に向けて社員自身やチームで目標を設定して申告し、進捗を管理しながら生産性を高めます。

MBOはタスクにかけた時間や労力、成果が可視化されるフレームワークで、従業員のモチベーションアップと業務の効率化につながるのが特徴です。

目標管理(MBO)とは?メリットやデメリット、運用の流れを紹介

360度評価

360度評価は社員1人に対し、複数の社員が評価を行う制度のことです。上司だけでなく同僚や後輩、他部署で関わりのある社員が評価者となるため、より納得感のある評価を受けられます。

ただし社員が評価に慣れていないと、主観的に評価する可能性があります。公平な評価を行うためには、社員研修などを通じて各自に評価スキルを身につけてもらう必要があるでしょう。

360度評価とは?メリット・デメリット、導入企業例を紹介します。

人事評価時に気を付けるべきポイント

人事評価時には以下のポイントに注意しましょう。

  • 評価エラーがないか確認する
  • 評価が低い社員へのフォローアップをする
  • 人事評価と報酬を連動させる

気付かないうちに評価エラーを起こしたり、評価が低い社員へのフォローを忘れたりすることもあります。社員の不満を高めないように意識しましょう。

評価エラーがないか確認する

人事評価の際に起こりやすい評価エラーに以下の内容が挙げられます。

  • ハロー効果
  • 中心化傾向
  • 寛大化・厳格化傾向

人事評価エラーは無意識に行われる傾向があるため、起こりやすいものを事前に把握すればいち早くエラーに気づけます。エラーの内容について具体的に確認しましょう。

ハロー効果

ハローは英語のhaloで「光輪」や「後光」という意味です。良い部分に影響され、他の部分まで良い評価をしてしまうエラーを言います。評価全体に捉われるのではなく、一つひとつの項目に対して適切な判断をしましょう。

中心化傾向

中心化傾向とは、自分の評価が相手にどう思われるかを気にして、平均的な評価を与えてしまうエラーです。評価者が被評価者側の能力や、評価基準を把握できていないときに起こりやすいと考えられます。

評価者は従業員とのコミュニケーション量を増やし、幅広い視点を持って被評価者の能力を把握するよう努めましょう。

寛大化・厳格化傾向

寛大化・厳格化傾向とは、必要以上に甘い、もしくは厳しい評価を与えてしまう正当な評価が行えないエラーです。寛大化・厳格化傾向を防ぐには、主観的な評価を控え、被評価者側の業務成果を元に客観的な評価を行う意識を持ちましょう。

評価が低い社員へのフォローアップをする

人事評価が低い人へのフォローアップもしっかりと行うことが重要です。社員はただ評価が低いと感じると「なぜ自分だけ評価されないのか」と、他の職場を探すきっかけにもつながります。

評価面談の際には「なぜ評価を低くしたのか」「どうしたら改善できるのか」を中心に伝え、被評価者の不満をやる気に変えていくようにしましょう。本音をぶつけることで被評価者の成長にも役立ちます。

人事評価と報酬を連動させる

人事評価自体に不満がない場合でも、給料やボーナスなどの報酬に成果分が反映されないと不満を生む原因になります。せっかく優秀な人材を育てても、待遇面での不満により退職されては元も子もありません。

適切な評価は「社員の満足度」にも大きく影響します。人事評価の結果を踏まえ、昇給や昇進を適切に判断できるような仕組み作りが大切です。

人事考課面談による退職にも注意が必要

人事考課面談は社員本人の能力やスキル、企業への貢献度を評価し、昇給や昇進などの人事面における処遇を適切に行うために実施します。

しかし、人事考課面談後に評価に不満を持ち退職につながるケースもあります。人事評価同様、評価に不満を抱かせないことが大切です。評価が低い社員にはフィードバックを通じて、評価の理由や改善するための方法を伝えましょう。以下の記事では、面談時に役立つ人事考課シートの書き方について紹介しています。

人事考課の3つの視点と注意するべきこと

適切な人事評価で社員の退職を防止しよう

社員自身の想定より人事評価が低いことで、会社に対する不満を抱え、最終的には退職につながる可能性があります。今回紹介した「納得感の得られる人事評価の方法」や「人事評価時に気を付けるべきポイント」を意識して、適切な人事評価で社員の退職を防ぎましょう。

今回は「人事評価制度の見直し」として、目標管理フレームワークのOKRを紹介しました。OKRは、Googleやメルカリなども取り入れていることで注目されています。主な特徴は「全社目標から部門・チーム目標までが可視化され繋がっていること」や「従来の目標管理手法に比べて短いスパンで設定・実行・評価・再設定すること」です。

以下の資料で人事評価制度にOKRを取り入れる具体的なノウハウを詳しく紹介しています。見直しを検討している方はぜひダウンロードしてご覧ください。

日本企業の人事評価制度にOKRを取り入れる具体的なノウハウ資料を無料で公開しています。人事担当者向けの、より実践的なOKR情報を掲載しました。ぜひご活用ください。

OKRを1つのツールに
まとめて運用しましょう

製品資料のダウンロードはこちら

お問い合わせ・導入のご相談はこちら