更新日: 2022年6月14日
総務省がテレワークを企業に推進している背景があり、テレワークを導入した企業が増えています。(参照:総務省|ICT利活用の促進|テレワークの推進)
テレワークを導入すると、業務の効率化やオフィスコストの削減などのメリットがあります。
一方で社員の働きぶりを対面で把握できないため、評価制度の運用がうまくいかない企業もあるのではないでしょうか。
テレワークでは社員の働きぶりが見えにくく、社員を適切に評価できていない可能性もあります。
本記事では、テレワーク下での評価制度の「運用方法」や「機能させるためのポイント」を解説しています。
テレワークの導入を検討している方や、評価制度が機能していない企業の経営層や人事担当者の方は参考にしてみてください。
近年の社会情勢によって、テレワークを導入する必要性が高まってきています。
以下の画像のとおり、2020年4月からテレワークを導入する企業が増えました。
参照元:総務省|令和3年版 情報通信白書|テレワークの実施状況
日本でテレワークが普及している理由は他にもあり、以下に代表例をまとめました。
社員が働きやすい環境を整備し、社員の満足度を高めようと考える企業が増えていると言えます。
テレワークを導入する際、次のメリット・デメリットを把握した上で取り入れましょう。
【メリット】
社員が自宅からオフィスへ移動しなくてよいため、社員の移動時間がなくなり、会社は通勤費を支給する必要がありません。
また、オフィスのあるエリアで地震や停電が起こった場合でも、リモートワークしている社員は働けるため、非常事態のときでも会社運営を行えます。
【デメリット】
オフィスで部下の業務を直接見られないため、業務のアドバイスをする機会が減り、部下の生産性が落ちる可能性もあります。
自宅やカフェなどで業務をしている場合、パソコンをカフェに忘れたり、ウイルスによって情報が流出したりする情報漏洩リスクもあります。
テレワーク下では従来の評価制度は機能しない可能性があり、制度について再考する必要があります。
従来の評価制度は「社員がオフィスで働くこと」を前提に設計されています。
テレワークの導入によって社員がオフィスで働く機会が減ると、従来の評価制度は機能しなくなる可能性があり、注意が必要です。
テレワーク下で評価制度を機能させるために、成果にもとづく評価基準を設計するケースもあるでしょう。
ただ、部署によっては成果を判断しにくい場合もあり、テレワークに合った評価制度を見直す必要があります。
テレワークのなかで評価制度を運用すると、多くの課題が発生します。
発生してしまう課題の代表例は以下のとおりです。
テレワーク下で人事評価に関する情報を紙で管理(提出・回収・ハンコ押印)していると、手続き業務が滞ってしまいます。
評価制度を運用するとき、上司が判断した部下の評価を人事が集計しなければいけません。
テレワークによって、上司と人事部のコミュニケーションが減ると、部下への評価をなかなか提出してくれない上司もいるでしょう。
評価制度に関する人事の業務には、社員の生活に大きな影響を与える「労務」の分野もあるため、円滑に手続き業務をする必要があります。
テレワークの場合、上司が部下の勤務態度を確認できないため、正確な評価をしにくい課題が発生します。
上司と部下とのコミュニケーションが、「チャットツール」や「ビデオツール」であると、部下の勤務態度をすべて確認しきれません。
上司は部下の勤務態度を正確に把握できない分、部下が成果を出せるようにマネジメントすることをオススメします。
テレワークを導入した場合、従来の評価基準では適切に評価できなくなり、評価基準が曖昧になります。
オフィスで部下と対面で会うことがなくなり、評価する方法や基準にばらつきが出てしまいます。
上司の感覚的な評価によって、上司と関係性のよい社員だけ評価が高いといった問題が発生する可能性もあるでしょう。
社員全員が評価に納得できるような評価基準・方法を設計しなければいけません。
人事と管理職のコミュニケーションが不足し、評価制度がうまく機能しないケースもあります。
評価制度に関する情報共有が人事と管理職の間で行えず、評価の実施時期が遅れたり、評価基準が管理職によってばらついたりする場合も。
さらには、人事の評価制度の手続きが遅れてしまい、労務に関する業務がストップしてしまう可能性もあるでしょう。
人事と管理職でのWeb・対面のミーティングを随時行うことをオススメします。
評価制度のフレームワークの中には、テレワークに適したフレームワークも存在します。
テレワーク下で機能する評価制度のフレームワークの代表例は以下のとおりです。
MBO(目標管理制度)は「Management by Objectives」の略称であり、目標の達成度によって社員を評価します。
社員の目標の達成度・進捗を管理する手法であるため、テレワークに向いている評価制度のフレームワークです。
全社目標を細分化して、チーム・個人の目標を設定します。
社員個人の目標を設定するとき、社員の経験やスキル、要望に合わせて適切な目標を設定します。
目標管理(MBO)とは?メリットやデメリット、運用の流れを紹介
OKRとは「Objective(目標)and Key Results(成果指標)」の略称です。
定性的な目標(Objective)と定量的な目標(Key Results)を設定し、目標を管理します。
OKRで設定した目標は社内で共有するため、テレワークで離れている社員の目標を確認できることが特徴です。
テレワークの課題だけでなく、他の組織課題もOKRによって解決できます。
OKRの特徴やメリットを詳しく知りたい方は、以下の資料をダウンロードしてみてください。
こちらの資料では目標管理フレームワーク「OKR」がいかにして組織課題を解決するかを簡潔にまとめています。特に企業成長においては役職間での共通言語をつくることがとても重要です。マネジメントにお悩みの方は、ぜひご活用ください。
360度評価とは、上司だけでなく同僚も対象社員を評価する多面評価です。
テレワークで社員の業務を常に観察できない中で、客観的な評価をできる点がメリットです。
社員は自分の言動が常に同僚に観察されているため、セルフマネジメント能力が身につきます。
360度評価とは?メリット・デメリット、導入企業例を紹介します。
ノーレイティングとは、その名のとおり社員をランク付けしない評価制度のフレームワークです。
一般的な評価制度は、3ヶ月〜1年ごとに社員を評価しますが、ノーレイティングは週や日といった短いスパンで目標設定・振り返りを実施します。
ノーレイティングは気づいたときに上司が部下にフィードバックするため、コミュニケーション量が低下しがちなテレワークに向いている評価手法です。
バリュー評価とは「会社の理念・ビジョン・行動指針などに沿った行動」を評価する手法です。
会社の理念や行動指針にもとづいた行動が増えるため、チームワークが向上し一体感が生まれます。
テレワークで会社の一体感がない場合に、バリュー評価はおすすめのフレームワークです。
理念やビジョンは抽象的であるため、バリュー評価の評価項目・基準はわかりやすく具体的に定義する必要があります。
テレワーク下で評価制度を機能させるためには、人事や管理職が気をつけたいポイントがあります。
人事や管理職が以下の5つのポイントを実行すると、テレワークにおける評価制度が機能するでしょう。
テレワークにおける評価制度を機能させるために、評価方法を全社で統一しましょう。
管理職によって評価方法が異なると評価にばらつきが出てしまいます。
たとえば、極端な成果主義を重視する管理職や、プロセスや勤務態度を重視する管理職などのように、管理職によってばらつきが生じてしまうことも。
評価方法を明確にして全社で統一すると、管理職は「社員が納得しやすい公平な評価」を行えます。
評価方法にくわえて「評価項目を見直して周知する」ことも、テレワーク下の評価制度を機能させるポイントです。
テレワークの環境では、わかりやすい成果が評価されやすいと言えます。
しかし、部署によっては具体的な数値目標がない場合もあるため、評価項目を正しく設計する必要があります。
成果だけでなく「業務プロセス」や「勤務態度」に関する評価項目を設計・共有し、部署や社員によって極端な評価の差が出ないようにしましょう。
テレワークでの評価制度を機能させるために、「業務プロセスと成果をバランスよく評価できる仕組みを設計する」必要があります。
極端な成果主義はわかりやすい成果を出した人が評価されやすいですが、目標がキツイと疲弊してしまう社員も出てきます。
テレワークで評価制度を運用するときは、「業務プロセス」と「成果」をどのような比重にして評価するか設計しましょう。
社風・文化やテレワークを導入する前の従来の評価制度を参考にしながら、「業務プロセス」と「成果」のバランスを決めます。
もともと「成果」に重きを置いた評価制度であった場合、テレワーク下の評価制度でも「成果」に重きを置いてもよいでしょう。
「人事評価システムを社内に導入する」ことも、テレワークでの評価制度を機能させるために大切です。
テレワーク下での「部下の情報が不足している」「人事評価の手続きが滞る」などの問題が人事評価システムによって解消されます。
人事評価システムを導入するメリットは以下のとおりです。
人事評価システムを導入すると、管理職や人事の評価に関する業務を効率化できます。
オススメの人事評価システムについて詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。
【2022年版】おすすめの人事評価システムを徹底比較! - Resily株式会社(リシリー)
「部下から上司への自己PR機会を設ける」ことも、テレワークでの評価制度を機能させるよい施策です。
テレワークでは、上司が部下の働きぶりをすべては把握できていないため、部下から説明する機会を設けることも大切です。
上司は「部下が業務のなかで工夫していることや課題解決のためにしていること」を理解できます。
「公平な評価をしてくるのか」「働きぶりを上司は理解しているのか」などの部下の不安を軽減するメリットもあります。
評価制度を見直して、テレワークの中でも評価制度が機能している企業もあります。
テレワークにおける評価制度が機能している企業事例を2つ紹介します。
お菓子で有名なカルビー株式会社は2009年から徐々にテレワークを導入してきました。
「ワークライフバランス」と「成果主義」を重要な2本柱としています。
社員の成長を促すために、年間の業務目標にもとづいた絶対的な評価をする評価制度を導入しています。
2015年にはテレワークの取り組みが評価され、「厚生労働大臣賞(輝くテレワーク賞)」を受賞しました。
日本マイクロソフトは市場の変化に合わせて、評価基準を目標達成率から「インパクト」へ変更しました。
インパクトとは、「会社・部門・チーム・顧客にどのくらいインパクトを与えたか」で社員を評価する基準です。
このインパクトの評価基準を導入したことによって、関係各所とのコラボレーションが多く生まれ、会社全体の生産性が向上しました。
テレワーク下でもチームや部門を越えたコミュニケーションが多く発生しており、評価制度が機能しています。
国が働き方改革を推進しており、テレワークを導入する企業が増えましたが、従来の評価制度が機能しない場合があります。
テレワークでは対面での社員間のコミュニケーションが不足し、客観的な評価をできないという課題が発生することも。
テレワークでの評価制度を機能させるためには「評価制度のフレームワークの導入」や「評価方法を統一」などの対応をしましょう。
評価制度のフレームワークの1つである「OKR」は目標を全体共有するため、テレワークでもコミュニケーションの活性化を期待できます。
OKRについて理解を深めたい経営層や人事担当者の方は、以下の資料を参考にしてみてください。
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